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不良品の証 13KB 制裁 小ネタ 自業自得 家族崩壊 飼いゆ 都会 独自設定 風呂敷広げておいてごめんなさい ※独自設定垂れ流し。 ※設定文章が多くてごめん。 ※36番あき様の「きんのまりさ と のられいむ」10頁目よりインスパイアされています。 ※36番あき様愛しております。いつもシビれる展開でイきまくりです。 「不良品の証」 必殺引篭り人 「…おい、まりさ。これはなんの冗談だ?」 お兄さんは呆然としていた。飼いゆっくりのまりさと一緒にいたもの。それは野良れいむ。しかも 頭には4匹の赤ゆっくりを実らせている。 「ゆっ、おにいさん!れいむをしょうかいするよ!まりさのたいせつなぱーとなーだよ!」 お帽子に金バッジが燦然と輝いているまりさ。その笑顔もまた輝いている。 「…金バッジ試験で勉強したこと、もう忘れたのか?」 「もちろんおぼえてるよ!」 「じゃあなんで野良とすっきりーしてんだ?」 「ゆっ!のらじゃないよ!れいむは『とくべつなのら』だよ!ゆっくりりかいしてね!」 「はあ?野良には違いないだろ?お前、金バッジゆっくりは野良とすっきりーしちゃいけないって あれだけ教えただろ!」 「ゆゆぅ!だかられいむはのらじゃないよ!『とくべつなのら』だよ!まちがえないでね!」 まりさは真剣だ。どうやら自分が選んだれいむはただの野良ではなく特別な野良ゆっくりであって、 すっきりーしても野良ではないから大丈夫、ということらしい。 お兄さんは脱力してしまった。あれだけ苦労して、やっととった金バッジ。それなのにあっという間に その努力をぶち壊してくれたのだ。 お兄さんは怒っていいのか、悲しむべきなのか、それとも滑稽すぎて笑えばいいのか、わけの分からない 理屈で野良じゃないと言い張る浅はかさにあきれればいいのか、まったくわからなかった。もしかしたら その全部なのかもしれない。 まりさの後ろにいるれいむはどうやら控えめな性格らしく、野良らしからぬおとなしさだ。さすが にゆっくりを見る目だけは曇ってはいなかったようでそこだけは安心した。これででいぶなど連れて 来られた日には即潰している所だ。 「…特別だろうがなんだろうが、バッジを持ってないゆっくりとすっきりーしたら金バッジじゃなく なるんだよ。それも教えただろう?」 「おにいさん!まりさはきんばっじさんなんだよ!だからとくべつなんだよ!とくべつなまりさが えらんだれいむは、やっぱりとくべつなんだよ!ゆっくりりかいしてね!」 まったく話にならない。増長しているわけでも、ゲスになっているわけでもない。マジで信じ込んでいる らしい。 まりさはペットショップ出身だった。しかもバッジなしの格安品。銀バッジ取得用の教育を受けていた にも関わらず、試験に落ちてしまったゆっくりなのだ。お兄さんは別にバッジにこだわっていたわけでは なかったので、安くなっていたまりさを選んだ。 飼ってみてわかったのは、まりさがかなり浅はかな性格だということだった。深く考えることをせず、 ほとんど脊椎反射のようにあっさり決めてしまうのだ。これでは銀バッジ試験に落ちるだろう。 しかしお兄さんは気にしなかった。馬鹿な子ほど可愛い、というわけでもないがあまり賢すぎても つまらん、と思っていたからだ。 そんなまりさが自分から金バッジをとりたい、と言ってきたのには驚いた。どんな心境の変化があったの やら、金バッジ取得に意欲を燃やすまりさに触発され、お兄さんは強力に後押しをした。 金バッジ取得のためにお兄さんは参考書や問題集を読みまくった。まりさも試験に向けて毎日の猛特訓 に励む。 金バッジゆっくりは野良から疎まれたりうらまれたりしやすい。そういうゆっくりからの攻撃から身を 守るため、ゆっくりとしてのもっとも重要な特性、クセを矯正する訓練を行うのだが、そこで いきなりつまづいたのだ。 お飾りを取られて動揺させる、バッジ取得ゆっくりに対する攻撃はこれがもっとも多い。何よりお飾り を大事にするゆっくりである。そこを攻撃されると弱い。 お飾りを盗まれても動揺しないよう、まりさは毎日家の中でお帽子を脱ぐことを義務付けられた。 はじめはジタバタと泣きわめいてお兄さんを困らせていたまりさ。この時点で金バッジ取得をあきらめる ゆっくりも多い。 次に多い攻撃は「ゆっくりしていってね」のお返事を狙われること。ゆっくりはこのセリフを言われたら 必ず返事を返してしまう。そこを狙われる。そのため金バッジゆっくりは決して返事を返さないよう 矯正される。 まりさはここでもつまづいた。何度やっても返事をしてしまうのだ。そのたびにお兄さんからビンタを くらう。 銀バッジ教育を受けているとはいえ、まりさはやはり浅はかな性格でなかなか勉強がはかどらない。 普通のゆっくりであればこのようなゆっくりできない日常を嫌い、バッジ取得をあきらめるところだ。 しかしまりさはあきらめなかった。弱音を吐くこともあったが、それでも金バッジに向けて日々努力 していた。そんな姿に、お兄さんも心打たれていたのだ。 それが今日、打ち砕かれた。 おそらくこのれいむとは金バッジ取得前から知り合いだったのだろう。金バッジ取得にあれだけ こだわったのは、れいむと番となり一緒にこの家でくらすためだったのだ。 まりさにゲス資質はなかった。それは一緒に暮らしていたから確信している。ゲスではなかったが 思慮が足りなかった。足り無すぎた。金バッジという特別なゆっくりになればれいむと一緒になって も問題ないと考えたのだろう。 お兄さんは無表情のまま呆然としていた。まりさはそんなお兄さんを必死に説得し続ける。ただ その内容は金バッジゆっくりだから~、とかれいむは特別だから~、とかまったく説得力のない ものだったが。 呆然としながらもお兄さんは考えていた。ともかくなんとかしなければ。 お兄さんはまりさの帽子から金バッジをはずす。 「おっ、おにいさん!かえしてね!まりさのきんばっじさんかえしてね!ゆわあああん!」 「…。」 「それはまりさのだよ!まりさががんばったからとれたんだよ!かえしてね!」 お兄さんの心にふつふつと怒りがわいてくる。自分のもの、だと? お兄さんは無言で部屋を出て行く。静かな怒りをたたえたまま、お兄さんは工具を探し、金バッジの 裏に刻印されていた数字をすべてつぶしていった。 部屋に戻るとまりさがいまだに泣きわめいていた。やれ自分のものだの、お兄さんはひどいだのと いった感じだ。泣きわめく後ろで、頭に茎を生やしたれいむがおろおろしていた。 お兄さんは金バッジをまりさの帽子にもう一度つけて言った。 「もうお前はうちの飼いゆっくりじゃない。今からお前は野良だ。」 それを聞いて、まりさは泣くのをやめた。 「…おにいさん、まりさをすてるの?」 「当然だろう。金バッジゆっくりの決まりを守れないようなゆっくりは飼いゆっくりじゃない。」 「ちがうよ!まりさはきんばっじさんだよ!ゆっくりりかい」 「しないよ。本当に馬鹿だなお前。飼いゆっくりってのは飼い主の言うことを守るものだ。守らない のは飼いゆっくりじゃない。せめて殺さないでやる。あとは自分でどうにかしろ。」 「ゆっ!かいゆっくりをすてるのはほーりつできんしされてるよ!」 「そういうことは決まりを守ってから言いな。」 「まりさをすてるとおにいさんがひどいめにあうよ!」 「…ぷっ。そうか、酷い目に会うか。じゃあ試してみようか。 ともかく、お前は捨てる。野良になって世間の厳しさを勉強して来い。」 そういうとお兄さんはまりさとれいむをダンボールに入れ、人気の少ない空き地に捨てた。お兄さんは まりさに、家に戻ってきたら加工所に連れて行くと言って去っていった。 「まりさぁ…、これからどうするの?」 「しんぱいしないでね、れいむ!まりさはきんばっじさんだよ!だからすぐにあたらしいかいぬしさん がみつかるよ」 「…そうだよね!れいむのまりさはきんばっじさんだもん!だいじょうぶだよね!」 「それにこんなにかわいいおちびちゃんたちがいるよ!これをみせればどんなにんげんさんでも すぐにかいぬしさんになってくれるよ!」 「ゆゆっ!そうだね!じゃあさっそくかいぬしさんをさがそうね!」 「「ゆっ、ゆっ、おー!」」 まりさは落ち込まなかった。大好きなれいむとのこれからがあったからだ。そう、どこまでも 浅はかだった。 人通りの多い道。まりさは道を歩く人たちに声をかける。 「おにいさん!まりさはきんばっじさんだよ!だからかいゆっくりにしてね!」 声をかけるまりさを見守るように、れいむは道のはしっこに寄っていた。 「おねえさん!まりさをかってね!れいむとのかわいいおちびちゃんもいるよ!」 しかしまりさが何度声をかけても、誰もまりさを飼おうとする人はいなかった。たいていの人は 金バッジと聞いただけで去っていった。 たまに金バッジを手にする人も現れた。まりさはそんな人に見てもらおうと帽子を向ける。しかし バッジの裏側を確認すると、全員が立ち去っていった。 「なんでだれもまりさたちをかってくれないの…?」 「ゆうぅ…。どうするの、まりさ?もうまりさがもってきてくれたごはんさんがないよ…。」 「どのにんげんさんもみるめがないね!まりさはきんばっじさんだし、れいむはこんなにびゆっくり でおちびちゃんたちもすごくゆっくりしてるのに!」 「まりさ。かいゆっくりになれないならせめてごはんさんをもってきてね。そうじゃないとれいむ おちびちゃんたちにえいようがあげられないよ…。」 エサがなくなって2日目。れいむはだいぶ弱ってきていた。赤ゆっくりに栄養を吸われているのだ。 しかたなく雑草を食べてはいるが、まずい上に消化するのに逆に栄養を使ってしまう始末だ。 まりさは必死で道行く人に声をかける。しかしことごとく無視され、しまいには蹴り飛ばされる。 パリっとした自慢の帽子はぐしゃぐしゃ。きれいな金色だった髪はすすけている。どこから見ても、 立派な野良へと転落していた。 もうれいむは連れて来ていない。れいむが弱ってきていることも理由だが、番がいるというと即座に 人間が話を聞かずに帰ってしまうことに気づいたからだ。 「おにいざん!ばでぃざをがっでぐだざい!」 「うわっ!なんだコイツ!?」 「ばでぃざはきんばっじゆっぐぢでず!なんでもでぎばず!ゆうごどなんでもぎぎまず!だがら…。」 「服が汚れるだろ!」 人間の足にすがりつくまりさ。しかし逆に蹴り飛ばされてしまう。 「ゆべっ!…いだいよぉぉ…。」 だれもまりさを助けてくれる人はいなかった。 「おにいさぁぁん…。」 まりさは結局、お兄さんの家に戻ってきた。加工所に送る、と脅されていたがここしかもう行くところ がなかったのだ。後ろについてきているれいむはやせこけて飛び跳ねることもできなくなっていた。 「まりさ。何で戻ってきた。加工所に送ると言っただろう?」 「ぐすっ、まりざ、だれにもがっでもらえながっだよ…。ゆわーん! どうじで!?どうじでだれもがっでぐれないの!ばでぃざ、きんばっじざんなのにぃぃぃ!!」 その言葉にお兄さんは呆れ顔だ。 「…本当に思慮が足りないな、お前は。金バッジだからだれも拾ってくれないんだよ。」 「…ゆっ?」 「ゆっ?じゃないだろう。よく考えろ。金バッジゆっくりが番を連れて飼い主を探しているなんて ありえないだろう。勝手なすっきりーをしないのが金バッジゆっくりの約束なんだから。 つまり番がいる時点で勝手な行動をするゆっくりだってことがバレバレなんだよ。」 「…ゆぅぅぅ!?」 「それに金バッジが捨てられるってことはさ、捨てられるような酷いことをしたってことだろ? そういうことをするようなゆっくりを飼いたいバカがいるかよ。 バッジの裏を確認して立ち去った人間がいるだろ。あれは俺が捨てゆっくりのしるしとして バッジの裏の登録番号を潰しておいたからだ。 だから迷いゆっくりと勘違いする奴もいなかったろ?」 「ゆゆゆ…、そ、そんなぁ…。」 「だいたい、バッジを奪って自分がバッジ付きゆっくりだって身分詐称する野良がいるってのも バッジ試験の勉強で教えただろう?自分がバッジ付きだって言えば言うほど人間は疑うんだよ。 本当、こんな簡単なこともわからないんだな。…金バッジ試験、受かったのって奇跡だよな。」 「ま、まりさ…。なんで…、かんたんなこと…、わからないの…?まさか、きんばっじはうそなの?」 れいむはまりさの金バッジを疑い始めていたらしい。 「で、でいぶ、ぢがうよ!ばでぃざは、…ばでぃざはきんばっじざんだよ!じんじでね!」 「まあほとんどウソみたいなもんだよな。こんなバカなのに受かったなんて。何かの間違いだな。」 まりさは泣きながら必死で主張している。 「おにいざん!でだらめいばないでね!ばでぃざがゆーしゅーだったからうがっだんだよ!」 「優秀なら金バッジが自分のものだって言わないんだよ。」 そういうとお兄さんはまりさの帽子からバッジをはずした。 「ゆ゛っ!がえじでね!ばでぃざのきんばっじがえじでね!」 「そこが間違いなんだよ。金バッジはお前のものじゃない。人間のものだ。」 「うぞいわないでね!ばでぃざがどっだんだがらばでぃざのものだよ!」 「あのな、これも試験の勉強で教えただろう?人間の世界じゃ、飼いゆっくりってのは人間の所有物、 つまり『モノ』なの。その『モノ』が性能を証明するのが金バッジ試験。で、バッジは証明書。 ある人の所有物が確かに高い性能をもっている、そういうことの証明書として人間に発行されるのが 金バッジなんだ。飾りに取り付けるのはそのほうが分かりやすいから、無くし難いからってだけ。 バッジはゆっくりのものじゃないんだ。人間のためにあるんだよ。」 「…ゆっ、ゆぇぇぇぇん…。」 自分の信じていた一切が否定された。まりさはどん底だ。 「…わかったか?どんなに自分が浅はかだったか。」 お兄さんはそんなまりさをやさしくなでた。 「世間の厳しさにもまれて、少しは賢くなったか…?」 「ゆっ…、おにいざぁぁん…。ばでぃざがばぢがっでばじだ…。」 「…そうか。ようやく学んだか…。」 「ゆん…。まりさ、これからはいいかいゆっくりになるよ…。だから、もういちどまりさをかってね!」 お兄さんはその言葉にポカンとした。 「…え、何で?」 「……ゆっ?」 「いやだからなんで『ゆっ?』なんだよ。よく考えろってさっきもいっただろ? お前みたいな浅はかでバカなゆっくり、飼うわけないよ。 じゃ、これからも野良のゆん生を精一杯生きろよ!」 お兄さんはまりさとれいむを掴みあげると、力いっぱい外へと放り投げた。 「「おそらをとんでるみたいー!!」」 その後、まりさとれいむはエサもとれず、街の野良ゆっくりにも迫害され、逃げるようにして街を 出ることになった。さりとて郊外ではエサもなく、そのふがいなさを責められたまりさは、 「…さあ…、おたべ…なさい…。」 なけなしの体力を振り絞り、れいむと赤ゆっくりのための栄養となった。 まりさを栄養とし、赤ゆっくりはなんとか生まれたものの、当然ながられいむもエサを取ることが できない。そして同じく。 「おちびちゃんたち、さあ、おたべなさい!」 れいむも赤ゆっくり達の栄養となった。 赤ゆっくりはれいむを食べてすくすくと成長し、郊外のゆっくりが等しくたどるゆん生をおくった。 「からしゅしゃん!ゆっくちやめちぇね!」 「まりしゃのかりゃだをたべにゃいでね!」 「れいみゅおこりゅよ!ねこしゃんあっちいっちぇね!…ゆぎゃぁぁぁぁ!?」 …すんません。「バッジシステムの考察」とか大風呂敷ひろげておいてこの体たらくです。 次回はもっと自分に素直に、パッションの弾けるままをぶつけようと思います。 過去作品 ふたば系ゆっくりいじめ 563 エコを目指す加工所 ふたば系ゆっくりいじめ 551 真実を知るということ ふたば系ゆっくりいじめ 544 モチモチを生かして ふたば系ゆっくりいじめ 509 おかされいむ ふたば系ゆっくりいじめ 464 ゆ身売買 ふたば系ゆっくりいじめ 387 れいむはよげんしゃ ふたば系ゆっくりいじめ 248 ゆっくりできない理由 ふたば系ゆっくりいじめ 216 子まりさの反乱 ふたば系ゆっくりいじめ 182 どすすぱーくをうつよ! ふたば系ゆっくりいじめ 177 人間の畑だと説得してみよう ふたば系ゆっくりいじめ 147 陰口 ふたば系ゆっくりいじめ 111 効率化の道 必殺引篭り人の作品集 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る れいむは生粋の野良なのになんで自力でエサ取れないんだよw -- 2017-01-18 01 37 56 最後のチビワロタ -- 2016-02-14 23 09 07 ととと特別な野良(笑) -- 2012-02-03 07 55 33 ↓でもれいむも当然ながらエサを取ることができないww どっちも馬鹿 -- 2011-10-14 22 15 35 こりゃれいむのほうが頭いいかもな -- 2011-09-30 12 30 42 この展開はゆっくり出来るね! 飼いゆが野良ゆと勝手に番になって捨てられる展開を初めて考えた人って マジで天才だと思う -- 2011-03-03 15 43 23 バッジシステムの評価方法に疑問しか感じないぜ! -- 2010-11-16 06 16 54 馬鹿の悲劇は可哀想と言いたい所だが… まりさをすてるとおにいさんがひどいめにあうよ! 何て言う糞饅頭には同情する気にもならんなw 膨らませて欲しいのには同意。もっと面白くなりそうです -- 2010-10-18 23 40 00 でもゲスでもないこのバカまりさじゃ制裁シーンがあってもあまり面白くなさそうだな -- 2010-09-04 09 17 09 もっと馬鹿まりさを酷い目にあわせてほしかったな。もっと悲惨なゆん生を送らせてほしかった。 -- 2010-09-03 11 44 03 次回作に期待するよ。 -- 2010-07-29 09 11 07 まぁ、勝手に番を作った上にすっきりー、挙句に自分が特別と勘違い、ただのゲスじゃん またはゲス予備軍、くたばって当然 -- 2010-07-12 01 55 57 ゲス制裁は仕方ない。バカの悲劇はかわいそう。 -- 2010-07-12 01 09 47 簡単にまりさを終わらせないでもっと悲惨な目に遭うのを見せれば・・・ -- 2010-06-26 02 02 56 もっとふくらませてよ・・・。 -- 2010-06-10 00 28 26
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前 「ゆ~♪ ゆ~♪ かわいい~あかちゃん~♪」 「おかぁしゃんのおうちゃ、しゅごくゆっくちできりゅよ!」 「もっちょ! もっちょうちゃって!」 「今日はこれでおしまいだよ。ゆっくり寝てね!」 「わかっちゃよ!」 「おやちゅみなちゃい!」 産まれて来た赤ちゃん達。 れいむに似たおちびちゃん。 まりさに似たおちびちゃん。 思ってたとおり、すごくゆっくりした良い子達ばかりだよ。 眠ってしまった赤ちゃん達の顔を眺めながら、れいむは幸せに満ちていた。 まりさに捨てられた時は死ぬ事も考えたが、そのたびにお腹の中の赤ちゃんが動いた。 まだ生きたい。 外に出てゆっくりしたい。 お母さんとゆっくりしたい。 まるでそう訴えるように、何度も激しく胎動した。 れいむは結局死ぬことを諦め、赤ちゃんを産む決意を固めた。 この子達を産んで良かった。 死ななくて本当に良かった。 今なら心から、そう思う事が出来る。 赤ちゃんが産まれて、必要な餌の量は格段に増えた。 いつも朝早くに起きて、餌を取りに行かなければならない。 れいむは今、三箇所のゴミ集積所を回っていた。 日の空く事を考えると、一箇所で集まる量だけでは、とても家族全員の食料を賄いきれないのだ。 だが当然、後の方になるほど、他の生物とかち合う危険性が増える。 それでもれいむは、赤ちゃん達の存在を心の支えにして、危険の中を掻い潜っていた。 れいむは生ゴミの無い日に狩りもしていた。 土手を走り回って昆虫を捕まえ、川辺の小石の下からは川虫を捕まえる。 川岸に大きな魚が打ち上げられていた事もあった。 二日分に値する食料。 あれから毎日のように川岸をチェックしている。 だが残念な事に、今のところその姿はない。 れいむは公園にも通っていた。 最初は、まりさがいるかもと思い避けていたのだが、ご飯の事を考えると背に腹は変えられない。 公園の大きな木の下には、食べられる木の実が落ちているのだ。 いつも入り口から覗き込み、まりさがいない事を確認して中に入った。 ハトのおじさんには、よくお世話になった。 その場で食べずに持ち帰っているのだが、おじさんは気にしてはいないようだった。 ただ、最近もう一人の子が一緒じゃないねと言われた時、れいむは何故だかすごく悲しくなった。 今日は赤ちゃん達と、お家の前でゆっくりしよう。 そう考えたれいむは、一回り大きくなった赤ちゃん達を、巣の外へと連れ出した。 初めて見る外の風景に、赤ちゃん達は大はしゃぎ。 目の前に広がる世界を、思う存分跳ね回り堪能する。 ここなら、どれだけ跳ねても頭をぶつける心配はない。 ここなら、狭く低い天井等ありはしないのだから。 「おかぁしゃん! おかぁしゃん! ばったしゃん、ちゅかまえちゃよ!」 「おねぇしゃん、しゅご~い! しゅご~い!」 「まりさは狩りが上手だね。お母さんにも教えてね」 「ばったしゃんは、はにぇるから、とまっちぇるとき、はにぇればいいんりゃよ!」 「れいみゅもやりゅ! れいみゅもやりゅ!」 姉まりさを追いかけて、妹れいむも一緒にバッタを探し始める。 しばらくすると、ちゅかまえちゃたという元気な声が聞こえてきた。 今度は妹れいむが捕まえたようだ。 すぐ後から聞こえてくる、む~ちゃむ~ちゃちあわちぇ~という幸せの声。 そんな妹れいむの様子を見て、姉まりさは負けじとバッタを追い回す。 二人はまるで競うように、バッタを捕まえては口に運んでいった。 もうご飯が取れるなんて、ほかの赤ちゃんにはマネできないね。 きっとれいむの赤ちゃんが、ゆっくり一ゆっくりな赤ちゃんに違いないよ。 せいかくには、ほかの赤ちゃんの三倍はすごいよ。 れいむの餡子の中に広がる親馬鹿全開思考。 そんな幸せなゆっくり的物思いは、突然現れた人間の声によって破られた。 「見て見て! ゆっくりの赤ちゃんだ!」 「なにこれ、マジかわいいんですけど!」 そう口にした人間の行動は素早かった。三倍どころの話じゃなかった。 瞬きする間に、赤ちゃん達は人間の手の上に乗っかっている。 ああ、れいむは何て餡子脳なんだろう。 人間さんがこんなに近くまで来ているのに気づかなかった。 ゆっくりのゆっくりした性格を、今ほど恨んだ事はない。 ゆっくりした結果がこれだよ! 人間さんはやっぱり油断ならないよ! ちがうちがう、そうじゃないよ。今はそんな事考えてる場合じゃないよ。 赤ちゃん達を取り戻さないとね。今すぐにね。 れいむは人間から赤ちゃんを取り戻す決意を固めた。 「お、おお、おねーさん達! ゆっくり赤ちゃんをはなしてね! ゆっくりいそいではなしてね!」 「これって、どうすればいいの? ゆっくりすればいいの?」 「わかんないよね。不思議だよね」 「い、いいい、いいから、れいむに赤ちゃんかえしてね! 赤ちゃんいやがってるよ!」 「えっ? そうでもないよ?」 「むしろ、よろこんでるよ?」 「わぁ~い、おちょらをちょんでりゅみちゃ~い♪」 「ゆ~ん、しゅごきゅちゃかいよ~♪」 「どぼぢでよろごんでるのおおぉおおおお!?」 白目を剥き叫びながらも、れいむはゆっくりと理解していた。 ああ、赤ちゃん達は嬉しいのだ。 自分達の届かない視点から見える世界を、ただ純粋に喜んでるだけなのだ。 きっと自分だって、大はしゃぎしてしまうに違いない。 だってあんなに高い場所にいるのだから。 それがゆっくりの生き様だよね。 そう考えると、何だか赤ちゃん達が羨ましくもある。 思っていたほど悪い人間ではないのかも知れない。 「ゆぅ……おねーさん達は、ゆっくりできる人なの?」 「よくわからないけど、ゆっくりできるよ」 「うん、ゆっくりできるよね。よくわからないけど」 よくわからないのはこっちだよとも思ったが、うかつに喋って人間を怒らせるわけにはいかない。 今のところ、赤ちゃんに害を与える様子はない。 ひょっとすると、本当にゆっくりできる人間なのかも知れない。 せっかくだから、少し赤ちゃんと遊んでもらおうか? 気がすめば帰るだろう。れいむはそう考えた。 「ゆっ! れいむ、ゆっくり理解したよ。いじめないなら、赤ちゃんとゆっくりしてもいいよ!」 「やった~! 私、この赤いリボンの子もらうね」 「じゃあ黒い帽子のまりさは、私が持って帰るね」 「どぼぢでもっでがえるのおおおぉおおおおおおおお!?」 本日二度目の白目を剥き、れいむはただただ絶叫した。 何を言ってるの? 馬鹿なの? この人間達は馬鹿なの? 会話になってないよ。ぜんぜん会話になってないよ。 もうお家に帰って寝ちゃいたいよ。 でも、赤ちゃんは置いてはいけないよ。 れいむ頑張るよ。お母さんだから頑張るよ。 れいむは最後の気力を振り絞り、人間達に訴えかける。 「お、おおお、おねーさん達! 赤ちゃんはれいむの赤ちゃんなんだよ? ゆっくりするなら、れいむの前でゆっくりしてね!」 「えー、でもうちって大きいゆっくりは飼えないし」 「うちはお父さんがれいむアレルギーでちょっと……」 「どぼぢでれ゛いぶまでいぐごどにな゛っでるのおおおおぉおおお!?」 三度目の絶叫で、れいむは自分の中にある餡子を見た気がした。 もうこの人間達と話すのは嫌だよ。 ハトのおじさんはこんなじゃなかったよ。 まりさのとこのお兄さんはこんなじゃなかったよ。 だいたい人間と一緒じゃゆっくり出来ないよ。 しかし、れいむは知っていた。 この世界で本当にゆっくり出来るゆっくり。 それは人間に飼われているゆっくりなのだ。 人間に満ちたこの世界で、他にゆっくりがゆっくり出来る場所などない。 自由はゆっくりをゆっくりさせない。 れいむは赤ちゃん達にゆっくりして欲しかった。 れいむも本当はわかってるんだよ。 人間に可愛がられてるゆっくりは、すごくゆっくり出来るよ。 あんなだったけど、まりさはすごくゆっくり出来てたよ。 公園で見たゆっくりも、みんなすごくゆっくり出来てたよ。 おねーさん達と一緒に行けば、赤ちゃん達もすごくゆっくり出来るのかな? 「あ、あのね? おねーさん達……本当に赤ちゃんを可愛がってくれるの……?」 「うん! ちょうど、ゆっくり飼いたいって話してたから!」 「うちも、まりさなら大丈夫。れいむは無理だけどね」 れいむはこっそりと赤ちゃん達の様子を窺い見る。 はしゃぎ疲れてしまったのだろう。 白目を剥き続けた親の気苦労も知らず、赤ちゃん達は手の平の上でぐっすりと眠っている。 ゆ~ん、赤ちゃん達、すごくゆっくりしてるよ。 まるで、れいむの側でゆっくりしてる時みたいだね。 赤ちゃん達、そこですごくゆっくり出来るんだよね? おねーさん達と一緒なら、すごくゆっくり出来るんだよね? これまでみた人間と飼いゆっくりの姿を、れいむはもう一度強く思い返した。 人間は飼いゆっくりに優しかった。 人間はすごく美味しいご飯を作る事が出来た。 人間は暖かい家に住み、そこはまさにゆっくりプレイスだった。 飼いゆっくりはどれも美しかった。 飼いゆっくりはだれもが健康そのものだった。 飼いゆっくりはどんな時も、幸せに包まれた顔をしていた。 飼いゆっくりじゃない自分の子達が、飼いゆっくりになれるかも知れない。 母親として、これ以上してやれる事はないはずだ。 れいむは餡子を吐く思いで、その言葉を唇で紡いだ。 「おねーさん達……赤ちゃんね……連れてってもいいよ……」 「本当にいいの?」 「お母さんはダメだよ?」 「れいむは一人でもゆっくり出来るよ! だから気にしないでいいよ!」 一緒に行けるものなら、れいむも赤ちゃん達と一緒に行きたかった。 だがれいむは理解している。この女の子達が必要としているのは、れいむの赤ちゃんだけなのだ。 れいむは赤ちゃん達の幸せを、自分の我侭で壊したくなかった。 れいむに似た赤ちゃん、れいむよりずっと可愛くなれるよ。良かったね。 まりさに似た赤ちゃん、まりさみたいに綺麗になってね。でも性格は似ないでね。 れいむは心の中で、赤ちゃん達とのお別れを済ませた。 ぐっすりと眠っているうちに行ってもらいたかった。 目を覚ました赤ちゃん達とお別れするのは辛かった。 「おねーさん達、赤ちゃん達が起きないうちに、ゆっくりしないでおうち帰ってね! 赤ちゃん達とゆっくりしてね!」 「うん、ゆっくりするよー」 「ありがとねー」 「ゆっくりしてね!」 手の平に赤ちゃんを乗せたまま、女の子達が去っていく。 遠ざかる二人の楽しげなお喋りが、れいむのところまで聞こえてくる。 赤ちゃんの声は聞こえてこない。まだ眠っているのだろう。 起きたられいむがいなくて泣いちゃうかな? それともすぐに忘れちゃうのかな? 今更考えても仕方のない事だ。 未練を振り切るかのように、れいむは身体をブルブルと震わせた。 不思議と涙は出てこなかった。 れいむのゆっくりは、もうほとんど残されていない。 赤ちゃん達と一緒に、身体の中から大切な餡子が転がり落ちてしまった。 れいむはたまに、そう感じる事がある。 ぽっかりと空いた空洞を埋めるように、れいむは以前と同じ生活を続けていた。 身体が赤ちゃんのいた頃と同じ生活リズムを求めている。 今日も朝早くに目が覚めた。ご飯を取りに行かなくてはならない。 本当のところ、ご飯なんて充分に残っている。文字通り腐る程ある。 それでも三箇所の餌場を、以前と同じコースで回る。 一つ目の餌場に着いた。 今日はごちそうの日らしい。 まだ半分近く残った人間のお弁当が、無造作に捨てられている。 もう持ち帰る必要は無い。そのまま、もそもそと身体の中に収める。 二つ目の餌場に着いた。 いつもと変わり映えのない風景だ。 近づいてみると、骨だけになった魚が転がっている。 空っぽの眼窩がこちら見ている気がする。これは犬さんにでもあげよう。 三つ目の餌場に着いた。 そこには先客の姿があった。野良ゆっくりだ。 れいむはもう食べたからいらないよ。ゆっくりしていってね。 心の中でそう呟き、ゆっくりと餌場に背を向ける。 「れ、れいむ! やっぱり、れいむなんだぜ!」 聞き覚えのある声だ。誰だっただろう? れいむがゆっくりと餌場に振り返る。 先ほどの野良ゆっくりが、こちらへと跳ねてくる。 それは変わり果てたまりさの姿だった。 これは本当に、あのまりさなのだろうか? れいむは唖然としながら、目の前のゆっくりに目を走らせた。 真っ黒な帽子は皺だらけで、鍔が所々欠けている。 得体の知れないゴミの絡まった髪の毛は、脂ぎって土色に変色している。 肌はカサカサに乾燥し、今にもヒビ割れてしまいそうだ。 頬はゲッソリと痩せこけて、眼窩が暗く窪んでいる。 満足に食事や睡眠が取れてないのかも知れない。 「あまりジロジロみられると、てれるんだぜ~」 照れているつもりなのか、身体をくねくねと左右に揺らしている。 なんと醜悪なゆっくりなんだろう。 まりさは自分を捨てた最低なゆっくりだ。 だが、その美しさだけは本物だった。 赤ちゃんにまりさの面影を見た時、密かに感謝をしたくらいだ。 そのまりさが目の前のゆっくりだなんて、れいむにはすぐに信じる事が出来なかった。 「本当にまりさなの?」 「まりさにきまってるんだぜ! うたがうなんてひどいんだぜ!」 疑うなと言う方に無理がある。 似ても似つかないその姿は、そこらの野良ゆっくりの方がまだマシだ。 だが、やはりこのゆっくりは、まりさなのだろう。 このどうでもいい性格が、これはまりさだとれいむに訴えかけている。 「……仮にまりさだとして、まりさはれいむに何の用なの?」 「れいむ~、まりさをたすけてほしいんだぜ~。こまってるんだぜ~」 「どうして、れいむが助けないといけないの? 助けて欲しい時に捨てたクセに? 馬鹿なの? 死ぬの?」 「そんなつめたいこといわないでほしいんだぜ~。こうなったのには、れいむにだってせきにんはあるんだぜ~」 「聞き捨てならないよ。ゆっくり説明してね!」 頬に空気を溜め込んで、身体を大きく膨らませ威嚇してみせるが、本当は怒ってなどいない。 そんな気力はとうに失せていた。 ただ、まりさがこうなった理由にだけは興味があった。 叱られた子供のように、まりさがその身に起こった事をぽつぽつと語り始める。 れいむに会うため、毎日のように公園に通っていたまりさ。 ただし、いつもお兄さんと来ていたわけではない。 まりさはお兄さんの目を盗み、一人で公園に来る事もあった。 これは、れいむも承知していた事だ。 愛ゆえの行動だと、バカバカしいほどに信じていた。 だがまりさは、あれで外に遊びに行く味を占めていたらしい。 れいむを捨てた後も、まりさは家を抜け出していた。 初めはこっそりと、公園で他の飼いゆっくりと遊ぶ程度だった。 しかし仲の良いゆっくりが出来ると、少しでも長く一緒にゆっくりしていたくなる。 ある日まりさは、お兄さんの帰宅時間も忘れて、ゆっくりし過ぎてしまった。 慌てて家に戻ると、そこには、すでに帰宅しているお兄さんの姿がある。 必死になって謝りながらも、怒られる、もう外で遊ばせてもらえない、まりさはそう思い困り果てた。 だが、お兄さんは優しかった。愚かしいほどに優しかった。 冒険したい年頃なのだろうと思い、楽しかったかい? お友達が出来て良かったね等と優しい言葉をかけてしまった。 これが、まりさの増長を招いた。 お兄さんが家にいる間でも、堂々と外で遊べる。 好きなだけ外でゆっくり出来る。 怒られないのだから問題ない。 まりさはそう理解した。 まりさの行動は、徐々にエスカレートしていく。 お兄さんの帰宅時間との兼ね合いで、これまで近所の公園までだった行動範囲。 しかし自由を手に入れた今、まりさを縛るものはない。 他の飼いゆっくりの家に押しかけ、心ゆくまでゆっくりする。 まりさは飼い主が留守になる事の多い飼いゆっくりを狙った。 飼い主がいなければ、何をしたって咎められる事はないからだ。 そう、好きなだけ、すっきりが出来る。 まりさは普段、れいむの事を思い出したりしなかったが、すっきりの記憶だけは何度も反芻していた。 れいむとしたすっきりは最高に気持がちよかった。 薄汚い野良ゆっくりとのすっきりでも、あの恍惚感が得られるのだ。 自分と同じ飼いゆっくりとなら、もっとすごいすっきりが出来るだろう。 まりさはそう考えると、居ても立っても、すっきりしたくて堪らなかった。 だが公園ですっきりしようとすると、相手の飼い主に怒られてしまう。 なら、どうすればいい? 答えは簡単だ。飼い主のいない時にすっきりすればいい。 しばらくすると、まりさは複数の飼いゆっくりと、すっきり関係を持つようになっていた。 1日に1すっきりは当たり前。多い日は3人以上とすっきりする事もあった。 当然、帰宅時間は遅くなる。夜半過ぎまで家に帰らない事もあった。 それでもお兄さんは怒らなかった。 まりさが家に帰らない日があっても、お兄さんは怒らなかった。 だが、そんなまりさのすっきり生活も、ある日終焉を迎える事になる。 相手の飼いゆっくりの一人が、にんっしんしてしまったのだ。 れいむの場合は野良ゆっくりだった。 しかし今回は飼い主のいる飼いゆっくり。 怒りが有頂天な飼い主が、お兄さんの家に怒鳴り込んできた。 ひたすら平謝りさせられた挙句、ごっそりと養育費まで取られたお兄さん。 ここまで来ると、さすがのお兄さんも、自分がどんなに馬鹿だったのか気がつく。 まりさを見つめるお兄さんの目は、冷たい輝きに満ちていた。 その時、まりさは言葉ではなく本能で理解する。 このままここにいたら殺される。 まりさは唯一の出口を塞がれる前に、お兄さんの家から逃げ出した。 自分に都合の悪い箇所を端折りながら、まりさはれいむに説明した。 つまりは殆ど端折られた。 れいむが知ったのは、公園に行き過ぎたせいでお兄さんに殺されそうになり、まりさが家を飛び出した事くらいだ。 「おうちに帰れば?」 「そ、そんなことしたらころされるんだぜ! まりさはまだしにたくないんだぜ!」 「じゃあ、まりさはどうしたいの?」 「れいむにたすけてほしいんだぜ~。そうだ! まりさがれいむのおうちにすんであげるんだぜ!」 どこをどうすれば、この発想に辿りつくのだろう? まりさは自分を置いて行った時の事を、まったく覚えてないのだろうか? 実際、まりさはろくに覚えていなかったが、呆れ返ったれいむには、かける言葉が見つからなかった。 「はやくれいむのおうちにあんないするんだぜ! ふたりでゆっくりするんだぜ!」 「まりさは本当に馬鹿なの?」 「そんなことないんだぜ! ゆっくりかんがえたけっかがこれなんだぜ!」 ああ、やっぱり馬鹿なんだ。 れいむはこんなのに餡子をときめかせた事のある自分が、心底嫌になってきた。 このまま、まりさを振り切って、巣に帰る事は出来るだろう。 まりさの身体はボロボロだ。とても自分に追いつけるとは思えない。 だが、しかし……自分が捨てれば、まりさは多分、いや必ず死んでしまう。 別に死んでもかまわないのだが、れいむにはそれすらも、どうでもいい事に思えた。 どうせ巣は空いているのだ。 赤ちゃん達が去ってから、巣の中はれいむ一人で住むには広すぎた。 まりさが一人増えたくらいで、どうとなるものでもない。 なら、まりさがいれば、赤ちゃん達を失った悲しみが埋まるのだろうか? そんな事、考えるまでもない。 まりさはまりさだ。最低なゲスゆっくりだ。 赤ちゃん達の欠片にも値しないだろう。 だが、それでも……れいむは、まりさを巣に連れ帰る事にした。 「わかったよ。れいむのお家で勝手に住めばいいよ」 「さすが、れいむなんだぜ! あいしてるんだぜ!」 大喜びで、れいむの周りを跳ね回るまりさ。 その姿を見て、れいむは何も感じなかった。 まりさとの生活が始まった。 まりさは当然のようにれいむが持ってきたご飯を食べると、当然のようにどこかへ遊びに行った。 まりさがどこに行くのか、れいむは全く気にならなかった。 暗くなると、まりさは巣に帰ってきた。 そしてれいむの取っておいたご飯を当然のように食べると、当然のようにすっきりを求めてきたが、それは丁重にお断りした。 まりさとすっきりすれば、また赤ちゃんが出来るだろう。 可愛い赤ちゃん。 でもそれは、今頃人間の家でゆっくりしてる、あの赤ちゃん達ではない。 れいむの思考は、ゆっくり成らざる物へと変化していた。 れいむにはゆっくり出来る物が残っていなかった。 ある日、れいむが巣に戻ってくると、そこにはまりさともう一人のゆっくりがいた。 だらしない表情をしたまりさが、そのゆっくりに擦り寄っている。 初めて見るゆっくりなのに、その名前が何故かれいむの頭に浮かんできた。 あれは、ぱちゅりーだ。 「どうしたの、まりさ? 何でぱちゅりーがいるの?」 「ぱちゅりーはいえがなくてこまってたんだぜ。だからまりさのおうちにしょうたいしたんだぜ!」 いつの間にか、この巣はまりさのお家になっていたらしい。 大方このぱちゅりーは、まりさがすっきり相手として連れ帰って来たのだろう。 毎晩お断りしてたから、まりさはすっきりしたくて堪らなかったに違いない。 れいむはそう考えたが、怒りはどこからも沸いて来なかった。 陶器人形のような表情で、目の前にいる二人を眺める。 「ところでれいむ。ごはんはまだかなんだぜ?」 「ご飯? ご飯はこれでも食べるといいよ」 れいむは頬にしまっていたご飯をペッと吐き出す。 さっき巣の前で何となく捕まえたバッタだ。 何となく捕まったばっかりに、バッタはまりさに食べられてしまう。 目の前のバッタを見て、れいむはバッタと自分のどちらがついてないのだろう? などと考えていた。 「ちょっとまつんだぜ、れいむ。これじゃはらのたしにもならないんだぜ!」 「じゃあ自分で取ってくれば?」 「まりさよりれいむのほうが、かりがうまいんだぜ! それにまりさはいっかのだいこくばしらだから、どしんとかまえておくべきなんだぜ!」 一家の大黒柱。れいむの親まりさは、まさにそう呼ぶべき存在だった。 自ら先頭に立ち家族を支え、そして真っ先に人間に捕まった。 それに比べて、この新たな自称大黒柱は、何と頼りない事だろう。 この巣の中には何も残っていない。れいむの中にも何一つ残っていない。 れいむはゆっくりと巣を後にしようと二人に背を向けた。 「やっといくきになったかなんだぜ! びょうじゃくせっていのぱちゅりーのぶんもたのむんだぜ!」 「むっきゅう、じびょうのぜんそくがつらいわ」 「何言ってるの? れいむはご飯を持って来ないよ。ゆっくり理解してね」 「れいむこそ、なにいってるんだぜ? ごはんをもってこないなら、れいむはこのいえにすむしかくがないんだぜ!」 「それでいいよ。そのお家は二人にあげるから、勝手に使ってね」 れいむは巣の外に出た。 綺麗な夕日が空を赤く染めていた。 後ろの巣穴から、まりさが自分を呼ぶ声が聞こえる。 その声が、れいむのすぐ後ろまで近づいてくる。 「れいむ! さっさと、ごはんもってくるんだぜ!」 ポスンとひどく呆気ない音がして、れいむはまりさに突き飛ばされていた。 土手は傾斜だ。れいむの丸い身体が土手を転がり落ちていく。 この先には川が流れている。 ずっと住んでいた巣の前である。 れいむは誰よりも先に、自分に迫っている危機を感じ取っていた。 足に力を入れれば、今なら方向を変える事も出来るだろう。 だが、れいむは、このままでいいと思った。 最初に家族を失った。これは人間が連れて行ったせいだ。 その次に人間に飼われていたまりさを失った。これは赤ちゃんが出来たせいだ。 赤ちゃんを失った。これは自分のせいだ。 自分が良かれと思い決断したせいだ。 だが、これだけは誇りに思っていいはずだ。 赤ちゃん達は人間とゆっくりし、立派なゆっくりに成長するだろう。 失った物は多いが、自分は未来の幸せを得る事が出来た。 赤ちゃん達、ゆっくりしてるかな? れいむの意識が水に溶けた。 ここは静かな森の中──ではなく、都心に程近いベッドタウンの一画。 川原の土手に掘られた巣の中に、あるゆっくりの家族が住んでいた。 まりさとぱちゅりー二人きり。子供はまだいないが、ぱちゅりーの頭には茎がはえていた。 きっと後数日もすれば、可愛い赤ちゃんが産まれるだろう。 だが、二人にそんな時間は残されていなかった。 「わんわんわん!」 「い、いいいぬさん、やめるんだぜ! たべるんなら、ぱちゅりーのほうをたべるんだぜぇえええ!」 「むっきゅううぅうう!! ま゛りざなに゛いっでるのおおぉおおおお!?」 土手でゆっくりを見つけた犬さんことポチはこう考えた。 後ろの奴は何だか動きがにぶそうだ。まずはこのよく動く方を何とかしよう。 ポチの中で野生が弾けた。 逃げるまりさに飛び掛り、そのまま上から地面に押さえ込む。 これで相手は簡単に逃げられない。 今度は両手の爪をしっかり食い込ませ、動く気力を削いでおく。 「やべるんだぜえぇええ!! ま゛りざはおいじぐないんだぜえぇええええ!!」 何やら叫んでいるが、ポチにはそんなこと関係ない。 帽子が取れてガラ空きになった頭頂を一齧り、二齧り。 抉られた傷痕から、真っ黒な餡子が噴出する。 「ま゛りざのあ゛だま゛があ゛あぁあああああ!!」 あまりの痛みに、まりさはポチの抱擁の中で暴れた。 こいつ動くぞ! ポチはゆっくりのポテンシャルに戦慄した。 しかし、こちらが優勢なのに変わりはない。ポチは負けじと、そのまま頭に齧り付く。 饅頭の皮だけあって、あまり噛み応えがない。じじぃのくれる犬用ガムの方がまだ気合いが入っている。 噛んでは千切り、噛んでは千切り、後頭部の餡子を剥き出しにしていく。 顔面だけ残し抉り取った所で、やっとまりさの動きが止まった。 「ゆ゛っ……ゆ゛っ……ゆ゛っ……」 「わんわんわん!」 どうやらまだ生きているらしい。驚いたポチは、念のためにもう二齧りし、まりさの息の根を完全に止めた。 次のターゲットは、白目を剥いてガクガク震えてるぱちゅりーだ。 ポチは相手がまだそこに突っ立ってた事を犬の神様に感謝した。 一気に間合いを詰め、まずは頭上をふらふら揺れている茎を噛み千切る。 「ぱぢゅり゛ぃのあがぢゃんがあぁああああ!!」 思ったとおりだ。もう一匹になかったアレは、何やら大切な物だったらしい。 これで勝つるわん! ポチは勝利を確信し、微動だにしない相手の顔面に齧り付く。 その時、ポチに電流走る。 さっきのと味が違う! うっめ! めっちゃうっめこっち! じじぃのめしよりよっぽどうめぇ! パネぇわんわんわん。 ポチはガツガツとぱちゅりーに貪り付いた。まさに犬食いである。 だが、そんなポチの幸せも、長くは続かなかった。 「ぽーち、ぽーち! まったくポチは足が速いのぉ。ワシを置いていかないでおくれ──ってナニ食っとんのじゃあああああ!!」 「きゅうぅん……」 飼い犬を放して散歩させるという暴挙をしでかしていた飼い主が、ゆっくりを貪り食うポチを発見したのだ。 ポチは頭をペシペシ叩かれて、思わず尻尾をクルっと丸める。反省の合図だ。 これを見た飼い主はポチを撫でると、ふぅと大きくため息をついた。 「久しぶり散歩コースをもどした結果がゆっくりじゃよ! ポチ帰るぞ! そんなもん食ったら腹壊すだろうに」 「わんわんわん!」 一人と一匹が土手を後にする。 後にはただ静寂とゆっくりの屍だけが残された。 おわり このSSに感想を付ける
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~ゆっくりえーきの生涯(後編)~ 「はぁ、はぁ、はぁ。」 小町は息を上げていた。それもそのはず彼岸から1度も休むことなく三途の川を全力で漕いで渡り、中有の道を全力 で駆け抜け、ようやく今いる妖怪の山までたどり着いたのだから。 「まったく、とんだとばっちりだ。お前達のせいだぞ!」 手の力を緩めると2匹は自由落下を始め顔から地面にぶつかる。 「「ゆ!」」 すかさず近くにある木目掛けて2匹を蹴った。 「「ゆ゛!!!」」 加減をして蹴ったので潰れることはなかった。 顔面を木にぶつけた2匹はそのまま地面へ落下した。 「いだいぞぉぉぉ!」 「なにするんだぞぉぉぉ!」 涙を浮かべながら2匹は小町に抗議する。 「だまれ!殺さなかっただけでもありがたいと思いな!」 小町の言葉を聞くとすぐさま2匹は口を閉ざした。 2匹の饅頭を殺すことなど造作も無いことであった。 しかし殺してしまったら魂となって当然三途の川に現れ、最終的には裁判所で映姫に再び会うことになる。 そうなったらどれだけ長い説教を聴かされるかわかったものではなかった。 「しかしどうしたものか。」 2匹を捨てる場所について頭を悩ませていた。 妖怪の山は妖怪に殺される、人里は人間に駆除されるか食料として殺される、森は他のゆっくりの縄張りに侵入し殺 されるか捕食種に食べられてしまうだろう。 どこへ捨てても2匹は長くは生きられそうになかった。 「・・・う~ん、そうだ!あそこなら。」 2匹を掴むとある場所へ向かって進みだした。 「お~い貧乏巫女いるか~?」 小町がやってきたのは幻想郷の東の端に位置する博麗神社であった。 「だれが貧乏巫女よ!」 現れたのは少し変わった巫女服を着た少女だった。 少女の名前は博麗霊夢、博麗神社と博麗大結界を管理している巫女だ。 「よぉ久しぶりだな、実はこいつらのことで相談があってな。」 2匹を霊夢の目の前の地面に置いた。 「「ゆっくりしてよいぞ~!」」 2匹は霊夢を見るとゆっくりえーき風のお決まりのセリフを言った。 「・・・どこからどう見てもあの口うるさい閻魔のゆっくりね。」 「こいつら映姫様の怒りを買ってな、わざわざ捨てる場所を探しに来たんだ。」 「その辺に捨てておけばいいじゃない。」 霊夢の言葉を聞くと小町はため息をついた。 「できればあたいもそうしたいさ、でも殺されでもしたら魂になって映姫様に会うことになるだろ?いつかは死ぬだろ うが熱(ほとぼ)りが冷めるまではこの2匹には死なれては困るんだ。」 「なるほど、それでわざわざ私のところまで来たってわけね。まぁとりあえず上がりなさい。」 部屋の入り口付近に成体のゆっくりが3体ほど入る大きさの透明な箱が置かれていた。 「とりあえずその2匹はこの箱に入れておくといいわ。」 なぜこんなところに?と少し疑問に思った小町であったが、ずっと2匹を監視するもの面倒だったので霊夢の言う通 りにした。 「せまいぞ~せまいぞ~!」 「はやくだすんだぞ~!」 すぐさま2匹は飛び跳ねて箱から脱出しようとする。 「その箱は上部が筒抜けになってはいるけどゆっくりの跳躍力では脱出ができないように作られているわ。お茶くらい 出すわ、2匹は放っておいて入ってらっしゃい。」 小町が部屋の中へ入っていくと2匹は泣きながら叫び始めた。 「いかないでほしいぞぉぉぉ!」 「おねがい、だしてほしいぞぉぉぉ!」 2匹の叫びは届くことはなかった。 「お茶とお菓子を用意するわ、その辺でくつろいでて。」 「妙に気前がいいな?何かいいことでもあったのかい?」 「そう?いつものことよ。」 霊夢は台所へ消えていき、しばらくすると台所の方から悲鳴が聞こえてきた。 「おねぇざんもうゆるじでぇぇぇぇぇ!れいむの、でいぶのあがぢぁんがぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!」 すぐに悲鳴が消え、霊夢がお茶とお菓子らしきものを持って戻ってきた。 「今の悲鳴はなんだったんだ?」 「ただの饅頭生産機の悲鳴よ。」 霊夢は卓袱台の上にお茶とお菓子を置いた。 小町は卓袱台に置かれたお菓子を見て先ほどの悲鳴の正体がお母さん霊夢であると確信した。 「へぇお前さんもゆっくりを食べるのか。」 「あら、里の人間の大多数と妖怪の一部だって食べるわよ。」 小町にとってゆっくりを食べるということは自分の仕事が増える事を意味していた。 そのため1度もゆっくりを食べたことはない。 しかし、目の前に出されたプチゆっくり達はどう足掻いても生き延びられそうにはなかった。 食べても食べなくても自分の仕事の量は変わらないとなれば大抵の人は食べる方を選ぶ、小町も例外ではない。 「それじゃ遠慮なくいただかせてもらうかね。」 小町は眠っている1匹のプチ霊夢を掴むと口に放り込んだ。 「ゆ゛う゛ーー!」 口の中からプチ霊夢の悲鳴が聞こえてきたがお構いなしに噛み砕いた。 「なかなかうまいな。」 この味ならゆっくりが食品として扱われ大量に殺されるというのにも納得がいった。 「さてと、本題に入りましょうか、あの2匹どれくらいの期間安全に暮らせればいいの?」 「映姫様は相当怒ってたからな~、もともとゆっくり種は短命らしいから1ヶ月くらいかな。」 「それだったら心当たりがあるわ、あの2匹私に預けない?」 霊夢の提案は小町にとって願ってもないものであり、もちろん断る理由などない。 「本当に大丈夫なのか?他に当てもないしお前さえ良ければ頼みたいのだが。」 「大丈夫よ、今日は遅いし明日にでも安全な場所へあの2匹を連れて行ってあげる。あなたは安心して彼岸へ戻るとい いわ。」 「そいつは助かる、恩に着るよ。そろそろ日も暮れるしあたいは帰ることにするよ。」 小町は帰り際に2匹の入った箱を覗いたが泣き疲れたのかスヤスヤと眠っていた。 そしてせめてものお礼にお賽銭を賽銭箱へ投げ入れた。 「それじゃあの2匹のことは頼んだよ。」 「えぇまかせて。」 小町は霊夢に2匹を預け帰路についた。 しかし小町は気が付かなかった。小町を見送る霊夢の目が¥マークになっているのを。 次の日霊夢はまだ眠っている2匹を風呂敷に包むとある場所へ向かって飛んでいった。 そして15分程飛ぶと目的の場所へ到着した。 その場所はゆっくり加工場、幻想郷に突如現れたゆっくりを加工し、甘味として販売している場所だ。 慣れた様子で霊夢は受付を済ますとある部屋に通された。 部屋の中には様々な装飾品が飾られており、風格のある年配の男が立っていた。 「これはこれは博麗の巫女様、まいど御贔屓(ごひいき)にありがとうございます。今日はどのようなご用件でしょう か?」 霊夢は無言で風呂敷包みを机の上に置くと結びを解いた。 「こ、これは!新種のゆっくり!?ど、どうか買わせてください!」 興奮気味の男はすぐに値段交渉に移ろうとする。 「ちょっと待って、売るのはかまわないけど1つ条件があるの。」 「・・・条件とは?」 「難しいことはないわ、1ヶ月間この加工場で安全にこの2匹を飼育して欲しいの。」 ゆっくり加工場はゆっくりにとっては最も危険な場所。 しかし、加工にまわされなければこれ以上安全な場所は他にはないのだ。 現にペット用ゆっくりの預かり所も加工場には設けられている。 「は、はぁそのくらいの条件でしたらかまいませんが。」 どんな無理難題な条件が突きつけられるかひやひやしていた男にとって1ヶ月の飼育など軽いものだった。 「お金は1ヵ月後2匹の無事を確認した後で受け取ります。それまで安全に飼育すると約束してもらえますか?」 「わかりました、加工場の代表者として約束いたします。」 「この2匹は預けることにするわ。くれぐれも1ヶ月間大切に飼育してください。」 男はなぜ1ヶ月?と疑問に思ったものの、しつこく理由を聞いて商談が破談にでもなったらたまらないと思い追求は しなかった。 用件を済ませた霊夢はプチゆっくりの詰まったお土産をもらって帰路についた。 2匹のゆっくりえーきはこれ以上ないほどゆっくりしていた。 2匹は人工芝の敷き詰められた広い部屋で飼育されていた。 部屋には小さな小川(もちろん人工の)が流れており、2匹の喉の潤いを満たした。 食事は1日3度与えられ、3時にはおやつも与えられた。 「「やっまだっなどぅ~♪ やっまだっなどぅ~♪」」 2匹はとてもご機嫌だった。以前映姫に警告されたことなど忘れお気に入りの歌を歌っていた。 しかしそんな天国のような待遇はもちろん長くは続かない。 2匹が預けられてからちょうど1ヶ月が過ぎた。 「約束通りきたわ、2匹はちゃんと元気にしてる?」 「もちろんでございます、我が加工場の預かり所に設置されている最高級の施設で飼育させていただきました。」 「そう、それじゃ商談に入りましょうか。」 商談はすぐにまとまった。 男は霊夢が予想していた金額よりもさらに0が1つ多い金額を提示したのだ。 「まさかこんなにも高く買ってもらえるなんて思ってなかったわ。」 「巫女様には加工場の各所に様々な結界を施していただきました、サービスするのは当然のことです。」 商談を終え霊夢はお金を受け取った。 「もうあの2匹はどうなっても構わないので好きにしてください。」 そう言い残し前回と同じようにお土産をもらい霊夢は帰路についた。 2匹のゆっくりえーきのの飼育されている部屋の扉が開いた。 いつものように食事が与えられると思った2匹は入ってきた人間に近づいていく。 しかし次の瞬間2匹は別々にゆっくりがちょうど収まるサイズの透明な箱に入れられた。 「なにするんだぞ~!」 「せまいぞ~!はやくだすんだぞ~」 2匹は抗議するが職員は無言のまま部屋から連れ出した。 1匹は箱から出されるとある部屋に入れられた。 「え~き~どこ~?あいたいぞ~。」 今までずっと一緒にゆっくりしていた相方がいなくなり困惑していた。 しばらくすると扉が開き1匹のゆっくりが投げ入れられた。 金髪でヘアバンドをしたゆっくり、ゆっくりアリスだ。 ゆっくりえーきは他種のゆっくりは会ったことがなかった。 そのため今自分の目の前にいるゆっくりがどれだけ危険な種であるか知る由もなかった。 「ゆっくりしてよいぞ~!」 ゆっくりアリスに挨拶をするゆっくりえーきであったが、ゆっくりアリスからは返事がなかった。 ゆっくりアリスは顔を赤く染め、体をプルプル震わせている。発情しているのだ。 「か、かわいいよおぉぉぉぉぉ!は、はじめてみるこだけどありすのこどもをうんでえぇぇぇぇぇ!」 ゆっくりアリスはゆっくりえーきに飛び掛り頬ずりを始めた。 「や゛、や゛べでほじいぞぉぉぉぉぉ!」 必死に逃げようとするゆっくりえーきであったが逃げ場のない部屋の中で発情したゆっくりアリスから逃げることな ど不可能であった。 次第にゆっくりアリスの振動は強くなりゆっくりえーきは白目をむき唸りだし始めた。 「ゆ゛っ!ゆ゛っ!ゆ゛っ!」 そして、ゆっくりアリスはついに絶頂に達した。 「すっきり~!」 「こんやがやまだあぁぁぁぁぁ!!!」 ゆっくりアリスはすっきり発言し、ゆっくりえーきは独特の断末魔を叫んで朽ち果てた。 2匹の行為が終わると扉が開き入ってきた職員にゆっくりアリスは持ち上げられた。 「もっとあのことすっきりさせてぇぇぇぇぇ!」 ゆっくりアリスは抵抗したが当然その願いは叶うはずもなく部屋から連れ出された。 部屋に残ったのは黒く朽ち果てたゆっくりえーきだけであった。 しばらくすると元ゆっくりえーきの頭から小さな緑の芽が顔を出しぐんぐんと成長していった。 そして伸びた蔓の先に小さな膨らみができ、少しずつゆっくりえーきの形になっていった。 30分もすると他種のプチゆっくりと同じ大きさまで成長した。 そして1匹のプチえーきが蔓の先から切り離され産声を上げた。 「ゆっくりちてよいじょ~!」 ゆっくりえーきの養殖に成功した瞬間だ。 最初の1匹の産声が発せられると次々と蔓からプチ達が切り離され産声を上げた。 「「「ゆっくりちてよいじょ~!」」」 こうして総勢10匹のゆっくりえーきが誕生した。 一方もう1匹のゆっくりえーきは白い壁に覆われた部屋の台の上に固定されていた。 「うごけないぞ~、はやくはなすんだぞ~。」 危機感0のゆっくりえーきはこれから自分に起こることなど知る由もなく、無邪気に笑顔を浮かべていた。 部屋には職員が5人立っており、その中には霊夢からゆっくりえーきを買い取った加工場の所長も混じっていた。 「それでは始めようか。」 所長自らゆっくりえーきの正面に立ち、残りの4人は囲むように位置を取る。 所長の手にはよく研がれた包丁が握られた。 そして包丁の刃がゆっくりえーきの目にとまった。 「ゆ!ゆっくりたすけるんだぞ!はやくするんだぞ!」 種としての本能か初めて見るものでも大抵のゆっくりは刃物を見ると危険なものだとわかるようだ。 「さぁ待望の中身との御対面だ!」 「ごんやがやまだあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!」 「「「こ、これは!」」」 5人の前にはこの世のものとは思えない表情のゆっくりえーきが真っ二つになって転がっており、中身は緑色の餡子 で満たされていた。 無言のまま所長は餡子をスプーンで掬(すく)い口の中に入れた。 口の中にはどこか懐かしくシンプルながらも独特の甘みが広がっていった。 「これは・・・鶯(うぐいす)餡だ!」 鶯餡とは小豆ではなく青エンドウを茹でて潰し、砂糖または蜜で甘い味をつけた餡子のことだ。 「これは新しい商品になるぞ!飼育部門にフル稼働でゆっくりえーきを繁殖させるように伝えるんだ!」 こうして1匹は強引な養殖により、もう1匹は解体されゆっくりえーきその生涯を閉じたのであった。 ~三途の川~ 「「やっまだっなどぅ~♪やっまだっなどぅ~♪」 2匹のゆっくりえーきの魂は相変わらずの笑顔でお気に入りの歌を歌っていた。 遠くからどこか見覚えのある少女が歩いてきた。 「お、とうとう死んだのか。貧乏巫女は約束を守ってくれたみたいだな。」 2匹は三途の川を渡り映姫の裁判を受けた。 映姫の役職を⑨にしたような歌を歌う2匹の判決はもちろん地獄行き。 「「こんやがやまだあぁぁぁ!」」 2匹の悲鳴が裁判所に木霊した。 ~1ヵ月後~ 満を持してゆっくり加工場から鶯餡を使った様々な商品が発売され、爆発的に売れた。 三途の川には魂になったゆっくりえーきの大群が押し寄せた。 そして誰かが教えたわけでもないのに皆口々にお気に入りの歌を歌っていた。 「「「「「やっまだっなどぅ~♪やっまだっなどぅ~♪」」」」」 出来ることなら見なかった事にしたい小町であったが、しかたなく三途の川を渡り裁判所まで連れて行った。 ゆっくりえーきの大群を目にした映姫は顔を引きつらせ問答無用で地獄に落とした。 その後小町は笑顔の映姫に未だかつてないとてもなが~~~いお説教を聴かされることになったのであった。 End 作成者:ロウ 後書き 最後まで読んでくださった方々にまずはお礼を申し上げます。 ゆっくり達の生涯シリーズ第7弾『ゆっくりえーきの生涯』はいかがだったでしょうか? ゆっくりえーきの設定のほとんどが私のオリジナル設定です。 えーきが発見されたところからSSを書き始めたため、えーき自体のいじめが後半部分だけになってしまいました。 えーきのいじめがたくさん見たかった方、ごめんなさい><。 SS冒頭は『映姫×ゆっくり系1 ゆっくり輪廻転生していってね!』を参考にさせていただきました。 ゆっくり霊夢や魔理沙と違い、基本となる設定がほぼ0だったためSS作製に苦戦し、完成させるのに2週間近くか かってしまいましたorz 博麗神社で霊夢に饅頭生産機と呼ばれていたのは私の5つ目の作品『ゆっくり一家の生涯「博麗神社編」』で登場し たお母さん霊夢です。 次回作はゆっくり達の加工場脱出物を書こうかなぁと思っています。 毎回書きますが私はSSを書くのが遅いので気長にゆっくりとお待ち下さい。 おまけ(ゆっくり時計) 適当な大きさのゆっくりを探しましょう。 あまり大きすぎると後の作業が大変なのでプチ~中ゆっくりにしましょう。 ちょうど良いサイズのゆっくり魔理沙が見つかりました。 掴み上げると文句を言ってうるさいので一時的に口をホッチキスなどでとめ、おなじみの箱へ入れておきましょう。 次に今では珍しくなった鳩時計を探しましょう。 無事鳩時計を手に入れたら鳩の部分を鋭利な刃物か針に変えてしまいましょう。 後は簡単鳩が飛び出してくる場所へホッチキス外しゆっくり魔理沙を固定しましょう。 そして鳩時計のスイッチをオン! 1時間ごとにゆっくり魔理沙が素敵な悲鳴で時間を教えてくれます。 「いだいよおぉぉぉ!いだいよおぉぉぉ!おうぢがえるう゛ぅ゛ ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛!」 おまけEnd
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注意書き もういじめとは言えないと思うので注意 これはゆっくり虐待というよりゆっくりとゆっくりの戦いです 虐められるゆっくりはいますが少ないし、虐めるのもゆっくりです ほんの少し過去作 ドスまりさの誕生 番外編1に関係する単語があったりしますが重要度はゼロに近いので読んだことがある人は苦笑いしてください ゆっくり大戦(YW)の続編という形を取ってはいますが、世界観は同じでも時系列とかははっきりしていません、同じ戦争の戦場の一コマと思ってください こんかいゆっくり達が非常に頭がいい(人間並みに道具を使って文明を作ってたりする)のでそういうのが嫌いな人も読むときは注意してください 元ネタはフリーゲームの「KBAF」WW2が好きな人はやってみるといいかも では本編行きます これは、遠いところのお話 紫にスキマで異星へ追放されたゆっくりれいむ、まりさ、ありす、ぱちゅりー、みょん、ちぇん れいむとまりさに別れた戦いは500年も続きついに星中を巻き込んだ一大戦争になっていた… 「さあ!はやくしっていることをはいてね!!らーゆっくりのすぺっくをしっているかぎりおしえてね!!」 「なんどいわれてもしらないよ!!れいむはていさつきのゆっくりだしのってたのも巡洋ゆっくりだよ!!しるわけないでしょ!!」 「ゆゆゆ…くちのかたいゆっくりだね…はけ!はけ!!しっていることをはくんだぜ!!」 「だからじらだいよ゛お゛ぉぉ!!」 一匹のれいむを数匹のまりさが体当たりでダメージを与える ここはまりさたいりくの中心部、まりさ軍総司令部地下の尋問室である ここには捕虜になったれいむ軍のゆっくりが集められ、尋問と称した拷問が続けられている そのくせまりさ軍は自分が今知りたい情報しか集めようとしない、そのため今回のように巡洋艦の搭載機のパイロットに戦艦のスペックを聞くこともある 当然れいむ軍は答えるはずもなく(さらに保身をあまり考えないれいむ軍は知っている情報も簡単には吐かない)拷問の末死んでいくれいむの数も多い れいむ軍には決して少なくない数のスパイが入り込んでいるが欲しい情報が手に入るとは限らない たとえば今れいむに尋問している戦艦「らー・ゆっくり」は「せんじょうのれいむたち」隊の旗艦としてまりさ軍にとって大きな脅威となっている さらにまりさ軍にとって都合の悪いことにせんじょうのれいむたち隊はその名の通り所属しているゆっくりは全員れいむ種なので全く情報がない わかっているのはらー・ゆっくりはまりさ軍のどの戦艦よりも横幅が広いということだけである 「だかられいむはしらないよ!!ゆっくりやめてね!!」 このれいむはゆっくりにしては根性のある種らしい、何度も体当たりされ、涙目になりながらも発音ははっきりしていた 「ゆゆゆ…しかたないんだぜ!!ありす!!」 「よんだわね!まりさ!!」 まりさの合図とともにドアをあけありすが飛び出してくる、その顔はもう我慢できないという風に赤く染まっていた 「このれいむをすっきりさせてやるんだぜ!!」 「ゆゆっ!やめてね!!ねいむはほんとになにもしらないよ!!」 さすがのれいむもこれには大きくうろたえた。体当たりされたり噛まれるのは我慢できる。だがすっきりされるのはさすがに怖かった れいむ軍でもまりさ軍でもありす種が前線に出てくることは少ない、前線基地や艦船がありすのせいで全滅することを防ぐため、前線にいるありすはごく少数の知性的なありすだけだ 他のありすは主に本土防衛隊や小豆、小麦の生産活動、短距離旅客機の操縦などを行っている 第二次大戦中のアメリカにおける女性の立場を思い浮かべてほしい だがまりさ軍のありすにはれいむ軍ともアメリカとも違うもう一つの使われ方があった、それがこの捕虜に対する尋問最終兵器ありすである 「さあ!とかいはありすにすっきりさせられたくなければらー・ゆっくりについてしっていることをぜんぶはきなさい!!もちろんはいてくれないほうがうれしいわ!」 「ほんとになにもしらないよ!!ゆっくりさせて!!ゆっくりゆるしてぇぇ!!」 「ありす!!やるんだぜ!!」 「れれれれいむぅぅぅー!!すっきりしたくてわざとしらないっていうれいむかわいいよぉぉぉ!!すっきりさせてあげるねぇぇえ!!」 「じら゛な゛い゛の゛お゛ぉぉぉぉ!!!!」 訓練された拷問ありすは一度交尾を始めすっきりするとそのまま超高速でれんぞくすっきりをさせることができる 「んほほおぉぉぉう!!いぐっ…れいむのま゛む゛ま゛む゛でい゛ぐよ゛お゛っ!!すっきりー!!すっきりー!!すっきりー!!すすすすっきりー!!」 「いやあぁぁぁぁ!!い、いぎだぐっ…ずずずずぎっりいぃぃぃぃぃぃ…!」 哀れ 強姦されたれいむはほんの数十秒で十回以上すっきりしてしまい一瞬で黒ずんで朽ちてしまった 「まったく…しぬまでじょうほうをはかないなんてばかなれいむだぜ」 今日もまりさはちぇんの引くゆっく力車にのって巣に帰る 自分はずっと捕虜尋問の仕事をしているがこんなにやった後嫌になる仕事はもうやりたくなかった だが仲間のまりさはれいむが泣きながら情報を吐くとき、ありすに強姦されたれいむが苦悶の表情を浮かべながら黒ずんで朽ちていくのを見るときは震えが止まらないほど楽しいという そんな理解しがたい仕事とは今日でおさらばだ、明日、自分は最前線へ兵士として赴くのだ このまりさは生まれたときから不自由しない生活を約束されたようなものだった まりさ軍幹部が親戚にいたためこのまりさはまりさ軍でいうところの「つよいゆっくり」にあてはまり、ずっとエリート、もしくは貴族階級ともいえる生活を送っていた 同年代の他のゆっくりが小豆畑で働いている時、自分は母親や何匹もの召使ゆっくりに囲まれどんなわがままも聞いてくれた 同年代のまりさが毎日前線に向かい、ありすが飛行機を作っていたころ、自分は「つよいゆっくり」として町の他のゆっくりに対し威張り散らすことしかしなかった そんな考えが変わったのは半年ほど前、いつものように街を歩いていると軍のまりさと話しているちぇんを見かけたときだった 何かを話し合っていると思うとちぇんがいきなり泣き出した、話していたまりさが慰めるとちぇんは泣きながらも何とか巣の中へ戻っていった そのまりさに話を聞いてみてまりさは愕然とした 自分という存在のなんとゆっくりしていたことか!! そのちぇんは同じ日に子供全員を亡くしていたのだ、それも二回も 一回目は七匹の子供が全員同じ爆撃機に乗っていて撃墜された 二回目は所属こそ違っていたが全員同じ作戦に投入され、その作戦が失敗したため十匹の子供が全滅した このときまりさは思った、自分だけゆっくりしていていいのか?今日もあのちぇんみたいな目に逢っているゆっくりがいるのではないか? まりさは徴兵の時期が来るより先に軍に入隊した。そして回されたのがこんな仕事だ 実際幹部の血筋のまりさはほとんどがこのような閉職かいきなり司令部の幹部になる、つよいゆっくりがよわいゆっくりとともに死ぬことなどあってはいけないことなのだ だがこのまりさは何度も司令部に転属願を出しやっと聞き入れられ、前線基地の司令官の参謀として前線に向かうことになった 翌日、まりさはみょんの操縦する水上偵察機で前線基地に向かって飛行していた 本来前線への赴任はそこへ向かう輸送船を見つけてそこに乗せてもらう形で行う 自分一匹のために飛行機を飛ばす、こういう特別扱いは嫌いだったがこれで自分も前線勤務だ、少しでも前線の犠牲者を減らそう、そう決意したときだった 偵察飛行でもしていたのだろうか?敵の戦闘機と空中で鉢合わせしてしまったのだ みょんは必死で回避運動を取り、まりさは一度も撃ったこともない後部銃座を乱射する、敵機の撃退には成功したがエンジンをやられ高度を落とす機体 みょんはすぐ近くに見えた島へ不時着することを決めた 「みょん!みょん!しっかりするんだぜ!!」 「ち…ち…ちん…ぽ…」 砂浜に突っ込んだ飛行機からなんとかみょんを引きずり出したまりさ、少しけがはしたが大したことはない、ほっといても治るけがだ だがみょんは不時着時に顔を計器盤に強く打ったらしく左目のあたりが大きくえぐれ痙攣するだけでまりさの呼びかけには答えない 「くそ!みょん!!しっかりするんだぜ!!」 まりさは学校を呪った、つよいゆっくりの学校はずっとまりさ軍のポリシーとかいかにれいむ軍は脆弱でまりさ軍が精強かといったことしか教えてくれなかった 少しでも応急処置について教えてくれればよかったのに!! そのとき、後ろで草を踏む音と同時にゆっくりの声がした 「ゆっくり傷を上に向けてね!!」 「ゆゆっ、だれなんだぜ!?」 後ろにいたのはゆっくりれいむだった、しかもその後ろには砂浜に逆さまに突っ込んだ敵の戦闘機、このれいむが敵なのは明らかだった 「ゆゆっ!!てきのれいむはゆっくりしn「まってね!!このままだとみょんはずっとゆっくりしちゃうよ!!」ゆゆ!?」 敵は殺さねばならない、だが自分を途中まで運んでくれ、話し相手にもなってくれたみょんを見殺しにするわけにはいかない 敵に頼みごとをするのは死に勝る屈辱だ、だが今まりさはその屈辱を飲んででも唯一と言える友達を助ける道を選んだ 「たのむんだぜ!みょんをたすけてほしいんだぜ!!」 れいむは頷くとゆっくりしないで自分の機体に向かい、コクピットの中から救急キットを取り出すと薬草や小麦粉を取り出しみょんの傷をふさいだ 多少適当だがこれで何とか応急処置はできた まりさは本当はこのれいむにみょんの治療をさせた後ゆっくり殺すつもりだった だがこの敵が自分に対して殺意を抱いていないこと、そしてみょんを懸命に治療してくれたことからすっかりそんな気は無くなってしまった それから三日間、敵と味方のサバイバル生活が始まった 殺す気はなかったが殺されるのではないかという疑心もあって食料集めの時まりさはいつもれいむを見張っていた そのためれいむの半分ぐらいしか食料は取れなかったがれいむは快く自分の分もまりさとみょんに分けてくれた みょんはまだ自力でご飯を食べれなかったのでまりさとれいむが交替で咀嚼して口移しで食べさせた 二日目の夜にはお互い自分のことを話すまでになっていた このれいむは最近この海域で行方不明になった味方の偵察機を弔うために艦隊の代表として花束を持ってここまで飛んできたこと その帰りにまりさとみょんの乗る偵察機を発見、攻撃したこと そのときあわててしまい不用意に接近、まりさの撃った弾がエンジンに当たり不時着したこと… そしてまりさ大陸ではほとんど知られないれいむ大陸、れいむ軍の実情 いわくどんな種類のゆっくりも(れみりゃ除く)みんな仲良く公平に暮らしていること そして何よりまりさがびっくりしたのはまりさ大陸では迫害の対象でしかないめーりんがゆっくり権を持ち、ゆふらんと一緒に街を歩いている… このときまりさは自分のことについてもっと考える必要ができたと思った 自分が軍に入ったのはあのちぇんのような悲しいゆっくりを出さないためだった だがあのちぇんは幹部の親せき筋ではない、むしろ自分たちをゆっくりさせるために搾取されるべき存在ではなかったか? 自分はもしかしたられいむ軍にいるべき存在ではないのか? だが自分はまりさ軍の兵士だ、自分にそう言い聞かせ、それでももし、れいむ軍に救助されたらみょんを説得して一緒にれいむ軍に入ろう、そう思い、言った 「れいむ…」 「なぁに?まりさ?」 「まりさとれいむのたたかい、さきにきゅうじょがきたほうがかちなんだぜ…」 れいむは返事をしなかった、だが少しだけ頷いた、そんな気がした 次の日の朝、まりさとれいむは飛行機の爆音で目を覚ました、みょんもまだ動くこともしゃべることもできないが音に気づいたらしく微笑みを浮かべている 飛んできた飛行機はまりさ軍の飛行艇だった、まりさは急いで発煙筒を点火して自分の位置を知らせる それに気づいた飛行艇が自分たちの周りを旋回し始めた、これでゆっくりできるね! まりさとれいむは自分たちが助かると実感していた だが、次の瞬間れいむは悲鳴も上げる間もなく一瞬で餡子と皮になった 何が起こったかわからない、ただ風に舞ったれいむのリボンが自分の帽子に架かった時、飛行艇が霊夢を撃ったということだけ理解できた 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁ!!どうじでこん゛な゛ごどずるのおぉぉぉ!!」 まりさはおそらく生まれて初めて悲鳴を上げる、みょんも声こそ出さないが白目をむいて痙攣している 「ゆっ、れいむぐんのくせにまりさぐんをいつわるばかなれーむはゆっくりころしたよ!!」 「いきなりうってびっくりしたんだね、わかるよー!」 「でもあぶなかったぜ、れいむぐんはきっとじこにみせかけてまりさたちをころすはずだったんだぜ」 「むきゅ、このみょんはしょっくしょうじょうをおこしているわ、ゆっくりはこぶのよ」 飛行艇から降りてきた仲間が何かを言っているがまりさの耳には入らなかった ただ、飛行艇に運ばれる時、自分がどうすればいいのか、自分の居場所はどこなのかがわかったような気がした あとがき 今回はある人に予言されてしまった捕虜虐待を…ごめん、やっぱり虐待はメインじゃなかった SSだけでは説明不足かと思うので質問等があればスレとかで見たら答えます 続きは…未定です、虐めスレとは少し路線が異なると思うので「もう書くなバカ」とか言われたら続きは書きません でもそういうのがなければ気分しだいで続きを書くと思います では 8月21日 2237 セイン このSSに感想を付ける
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「ふたば系ゆっくりいじめ 1226 庭のゆっくり/コメントログ」 後日談希望 -- 2010-06-06 14 21 38 ふつう -- 2010-06-27 10 26 23 もう少しこの親子の話を見てみたいな -- 2010-07-08 03 01 48 短すぎます!!! 凄く好きなシチュなんで最後まで見たいです! -- 2010-07-25 01 18 59 本当に短いけれど良いシチュです、出来れば続きを見てみたいですね -- 2010-07-25 01 56 14 飼いゆにしてもらえたのに文句言うとかゲス一家だな -- 2010-11-17 17 19 41 逃げるよりはマシな苦しみを与え続けるくらいの話を期待したんだけどな。 嬲るなら、もうすこしゲスさがないと。 -- 2011-07-14 20 25 30 ↓↓飼いゆ?どこがだよ、頭おかしいんじゃねーの? どう見たって捨てられゆっくりの虐待モノだろ? -- 2011-09-17 21 57 34 なんかいろいろと足りない 行かすにしても痛めつける死しても -- 2011-10-20 03 18 40 ↓↓本当に面倒くさい奴だな ジョークだろ -- 2016-02-29 07 47 28
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※妄想シーンがあります ※お兄さんがキモく、ウザくなります ※ゆっくりが木から生えます 「ゆっくりが実る木」 ある家の玄関に種が入っている袋が落ちていた。 「うん?」 何じゃこりゃと袋を拾い上げるお兄さん。 すると種のほかに紙が置いてあった。 「この種を植えてください 追伸 おなかがすいているのであればこの木から育った実を食べてください」 それしか書いてなかった。 「へぇ・・・ なんかの果物か? ちょうどいい、腹も減ってるし、金もないから、植えてみるか。」 早速中庭に種を植える。 水とか肥料はバッチリだ。 「へへ、そう簡単にならないのは知ってんだよ。 ま、気長に待ちますか。」 実はこの男、前に木を育てたのだが一ヶ月足らずで駄目になってしまった経験がある。 そんなことは関係ないか。と思い家の中に入る。 そして夜。 何か変な音がした。 「何だ?ゆっくりが忍び込んできたか? いや、違う。ゆっくりがこんな時間帯にくるはずがない。」 なんだってんだよー、ったく と思った後、外を見つめた。 すると植えたはずの木があっという間に育っているではないか! 「な・・・なんじゃこりゃアアアアあアアアアあアアアアアアアアアアアアアアあアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」 しかも立派に育っている。 「やばいってこれ。夢だよ、夢だって、そうさ!いつだってッ!!」 とあわてて家の中に戻り 布団に飛び込む 「だからお休みー」 布団を再びかぶり眠りにつく。 で、翌日。 ぱっと目を覚ました俺は中庭を覗いた。 すると目の前にあったのは・・・ やはり立派な木だった。 「何で夢じゃないのおおおおおおおおお!!!」 ゆっくりのような悲鳴を上げたお兄さん。 さらによく見るともう実がなっている。 「はぇぇ・・・はぇぇよぉ・・・」 この木の成長振りにびびるお兄さん。 よく見ると、その実はどこかで見たような気がする形だった。 「なんかこうウザい感じがするな・・・」 はぁーと、溜め息をした次の瞬間。ぷちりという音がした。 「ん?何の音だ?木の裏側っぽいな、見てみるか。」 と覗くと、黒い髪に赤色リボン。これってまさか・・・ 「ゆっきゅりちていっちぇにぇ!」 一口サイズの小さなゆっくりれいむだ。 「さっきまでいなかったはずのれいむがなぜここに・・・ まさか!」 お兄さんは木の実を見る。 よく見ると、ほかの木の実には黒い帽子、カチューシャ、猫耳帽子、ナイトキャップなどがついている。 これでもう明らかになった。 この木はゆっくりが実る木。 「なんてこった。 俺は大変なものを・・・ あ。」 お兄さんは懐に合った紙を取り出した。 『この種を植えてください 追伸 おなかがすいているのであればこの木から育った実を食べてください』 と書いてあった。 食っていいから大丈夫だよなと思った俺はまりさと思われる実に手を伸ばす。 「よし・・・」 と実をくいっと引っ張った。 すると実は簡単に取れた。 まりさは悲鳴を上げることもなく絶命した。 次に帽子をぽいっと捨てる。 「ゆぅ~にゃにしょれぇ?おいちいにょ?」 と木の実から生まれたれいむがたずねてくる。(以下実れいむ 実まりさなど) 「ん~どだろ。」 ぽいっと口の中へ放り込む。 味はいまいち まだ成長が未発達のせいかそんなにおいしくなかった。 「これ以上増えてもらってはこまるな・・・ 何かいい策はないもんか・・・」 と頭を抱え悩みこむ。 するとお兄さんの家の近くから声がした。 よく見ると一人のお兄さんがれいむとまりさを籠につめ歩いているところだった。 「何してるんですか?」 と問いかけると、お兄さんは苦笑し。 「お前知らないのか。 こいつらを加工所に売り飛ばすんだよ。 そうすりゃ金になる。」 「かごうじょいやあああああああああああああああああ!!」 加工所という単語を聞き暴れるれいむとまりさ 「るっせーな、今楽にしてやるから覚悟しとけ。」 なんてやり取りの後お兄さんはすたこらさっさと逃げていった。 サイドビジネスの予感。 お兄さんは将来の自分を想像した後、とんでもないことを考えてしまった。 「いや、待てよ。 ぽんぽーんと連れて行ったら怪しいって思われて家宅捜索されるんじゃ!?」 創造というよりモロ妄想である サイドビジネスはあきらめた。 金を渡す加工所の気持ちも少しわかった気がする。 「そうだ!木!」 俺はあわてて庭の中へ。 すると実がぽろぽろ落ちてきている。 そしてお兄さんのほうを向いて 「「「「「「「「「「ゆっきゅりちていっちぇにぇ!」」」」」」」」」」 オウ、ノーもう生まれてる。 しかも十匹近く。 でも、こいつらを飼うわけにはいかない 野生に離してもれみりゃが現れるだけ。 どーすんのよ。 殺しまくってストレスを処理しても ぽんぽん増えるやつだから飽き飽きになるだろう。 なので。 数週間後。どこかのマンション トントンとドアのノック音がする。 「うるせーなぁー朝から。つーかチャイムがあるからそれ押せよ。 どんだけレトロな人間だ?お前。」 「すまないなぁ・・・お前が一流の虐待お兄さんとして折り入って頼みがあるんだ。」 「はぁ?」 「友達のよしみってことで・・・ こいつら全部殺してもかまわないぞ」 と差し出されたのは大型サイズの籠にゆっくりたちが無造作に押し込まれている。 「んな!何匹いるんだよ!こいつら」 「んー、50匹くらいかな。」 「キャッホオオオオオオオオオオオオオオオオオオウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!」 友達が歓喜の声を上げる。 「まさかこんなにゆっくりを大虐殺する日が来るとは!!」・・・と。 「あ、こいつら5000円な。 あと前に貸した10000円返せ。 それとこのことは誰にも言うな。」 すると友達はマッハの速さで財布を持ってきて。 15000円を渡した後、強くドアを閉めた。 「・・・いよっし!」 とお兄さんはルンルンと笑顔で帰った。 つまり加工所ではなく友達に売り飛ばせばいい。 秘密にさせておけば家宅捜索なんてないんだぜ!(モロ妄想です) そんな簡単なことに早く気づかなかったんだろ。 なんて思いお兄さんは家に帰る。 そして家に帰り木の本へ戻るお兄さん。 実ゆっくりたちのお帰りコールがあったので適当に返事をし木の本へ行く 「やっほ~ぅ。わがいとしのきよぉ~ かえったぞぉ~」 とでれでれと戻ってみると新しい実が実りつつあった。 「おお、金が実る。金が実る。」 お兄さんは次から次へと実を確認しました。 「おお、今日はちぇん・・・みょん・・・ おお、れみりゃだ。 フランまで。 むふふ・・・ お兄さんはうれしいどぉ~♪」 思わずれみりゃの真似をしたお兄さん さらには踊りまで真似する始末。 「うっうー♪うあ♪う・・・うん?」 お兄さんが何かに気がついた。 見たこともない実がはえていたのだ。 すると近くにいた実ちぇんが現れ実を見るなり 「ら・・・らんしゃまあああああああああああああああ!!」 「・・・は?」 「らんしゃまだ!まちがいないよ-わかるよー」 「なにいってんだここにらんがいるわけ・・・」 といい木の実を見ると 確かにいた。 らんがいた。 他にもゆゆことか、えーりん、ゆかりとかも生えていた。 「てかえーりんがここから生まれてもいいのか!?」 なんてお兄さんは思っていたがそれはどうでもいいとして。 まさに希少種のラッシュ。 売れば相当の金額になるだろう。 あと、どうでもいいができればゆゆこは早く生まれてきてほしい お兄さんのほしいゆっくりランキングナンバーワンだからだ。 お兄さんはルンルンとしていた。 まさかあの木からゆゆこが生まれてくるとはと。 翌日には生まれてくるんだ。 楽しみだな・・・ そして翌日。 お兄さんはウキウキしていた。 早くゆゆこうまれねーかな。 その隣にはちぇんがいた。 早くらんしゃま生まれないかな。 お互いはそんなことを考えていた。 すると実がゆれる。 ついに・・・ついに・・・ ゆゆこが(らんしゃま)が生まれるんだ! 実がぽとりと落ちる。 生まれてきたのは・・・ 「どうも、ゆっくりしていってください わたしはきよくただしい きめぇまるです」 きめぇ丸だった。 場の空気が凍りつく。 ついでにきめぇまるは生まれてきてから言語能力が発達しており生まれたにもかかわらず成体ゆっくりに近いような話方をする。 「なんでらんしゃまがうまれないのおおおおおおおお!?わからないよおおおおおおおおお!?」 ちぇんが半狂乱になっている。 「大丈夫だ!落ち着けちぇん!次こそはらんが生まれるって!多分!!」 「ゆ・・・そうだねーおちつくよー」 (さぁこい!ゆゆこ!!生まれたらお兄さんとゆっくりしようね!) お兄さんはそう思い妄想を開始した。 それはお花畑じゃなくてゆっくりたちのゆっくりプレイス 俺はゆゆこと手(?)を取りながら嬉しく虐待をしていた。 「あはははははははは・・・」 「こぼねー」 ゆっくりたちを踏みつけ、蹴飛ばす俺。 ゆっくりたちを容赦なく食らいまくるゆゆこ まさに俺の人生薔薇色! かもぉーん!ゆゆこ!! しかし、木に変化が起きた。 木が見る見ると枯れ、木が朽ち果ててしまったのだ。 当然実は栄養を受け取ることができなくなり黒ずんでしまった。 らんも、ゆゆこも。 「「うっ、うわああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」 すると玄関近くにチャイムの音が 「はい・・・」 それは郵便局の人だった。 「いたいた。実はあなたにこれを渡すように頼まれまして。では。」 一通の手紙を渡した後、郵便局の人はバイクにまたがり去っていった。 その手紙には 「遅れてすいませんでした。 この木はゆっくりを実らす木ですが 一ヶ月たつとかれてしまいます。 お手数をかけすみませんでした。」 と書いてあった。 それを見たお兄さんは 「なんてこったい。俺のゆゆこがあああああああああああああああああああああああ!!」 ちぇんはもう息もしていないらんに泣き縋る。 「うわああああああああん!らんしゃまあああああああああああ!ゆっくりしてええええええええ!わからないよおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」 お兄さんはその後怒りに身を任せ手紙を力いっぱいに破り捨てた後 、枯れ木などに八つ当たりをはじめ。 最後、暴れすぎたせいか意識がブラックアウトする。 「・・・はぁっ!!」 俺はがばりと起き上がった。 「な、・・・なんだ。」 お兄さんは起き上がり庭を覗く。 気はない、ゆっくりたちの死体もないし、ちぇんもいない。 まさか・・・これは 「夢オチかよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」 あとがき 最後は夢オチでした。 ゆっくりの出産方法に茎による植物性出産を考え 木からから生まれたらどうなるだろうかと考え作りました。 夢じゃなかったらどうなることかと俺は思う。 byさすらいの名無し 過去作品 いじめ系2850 ゆっくり油火踊り祭 いじめ系2889 ゆっくりべんじゃー いじめ系2932 すぃー吶喊 いじめ小ネタ542 ゆっくりジェットコースター いじめ小ネタ545 ゆっくりボール いじめ小ネタ546 ゆっくり太郎 いじめ小ネタ553 ゆっくりできない川さん いじめ小ネタ562 ゆっくり草野球 いじめ小ネタ567 ゆっくり瞬殺されるよ! いじめ小ネタ573 金バッチがほしいよ! このSSに感想をつける
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「おにいさん!れいむたちのおしごとのおてつだいをさせてね!」 「・・・・・・は?」 ある初夏の晴れた日のこと。 俺はいつも通り田吾作さんの畑のわりと近くにある自分の畑で仕事をしていた。 すると、人里のゆっくり対策の進んだ最近では珍しい山から下りてきたゆっくりの一家がやって来て、そんな事を言いやがった。 他所の地域では虫取りや他の害獣を追い払うのに役立てることもあるらしいが、ここではそんな習慣はない。 そもそも、人間の役に立とうという殊勝なゆっくり自体が極めてまれな存在だ。 「・・・農作業の手伝いって、お前らに何が出来るんだ?」 「れいむたちはむしさんやはっぱさんをむーしゃむーしゃできるよ!」 「野菜と雑草の区別はつくのか?」 「あたりまえなんだぜ!」 そう言って、ゆっくり一家の両親はゆへんと偉そうに胸(下あご?)を張った。 両親はれいむ種とまりさ種で子どもは親と同じ種族の赤ん坊サイズのものが2匹ずつ。 いわゆるオーソドックスファミリーだ。 「子どもが勝手に食ったりしないだろうな?」 「「「「しょんなことちなにゃいよ、ぴゅんぴゅん!」」」」 俺の言葉に反応した子ども達は反論の後、一斉に頬を膨らませた。 さて、どうしたものか・・・。 さっきの応答や言動・態度を見る限りにおいて、ゲスっぽい気配は無い。 それどころか家族揃ってゆっくりにしてはかなり聡明なようだ。 「ん~・・・」 「おにーさぁん・・・おねがいだよ!」 「・・・で、何が目当てなんだ?」 「ゆゆっ!・・・すごいぜ、れいむ!まりさたちのもくてきはばればれだぜ!」 「ほんとうだね!さすがにんげんさんだね!」 「「「「ゆっきゅちしゅごいよ!」」」」 珍しく殊勝な奴らだと思えばやっぱり見返り目当てだったが、それでも勝手に畑の野菜を食い漁るよりはずっと賢明だろう。 物珍しさにも後押しされ、俺は大根4本と交換で一家の申し出を受け入れることにしてみた。 野菜と雑草の区別が出来ていることを確認してから、柵の中に招き入れ、一家のためにそこそこの大きさの小屋と水飲み場を設置してやる。 こうして、俺とゆっくり一家の共同作業が始まった。 結論から言えばこの一家はいつも俺の予想をいい方向に裏切ってくれた。 ちゃんと雑草と野菜を区別して雑草だけを抜き取ってくれるし、虫の駆除もほぼ完璧。 流石にそれ以上のことは殆ど出来なかったが、虫害をどうにかしてくれるだけでも本当に助かる。 一度だけ子まりさが野菜に口をつけようとした事もあったが、その時には自分の子どもをちゃんと叱りつけていた。 なるほど、これだけ出来のよい個体であればゆっくりであってもそれなりに役に立つ。 それに・・・・・・ 「「ゆゆっ!おにーさん、ゆっくりしていってね!」」 「「「「ゆっくちちていってね!」」」」 「仕事があるからゆっくり出来ないっつーの」 「「じゃあゆっくりおしごとがんばってね!」」 「「「「ゆっくちがんばってね!」」」」 何より、間違ってもおうち宣言のようなこっちの神経を逆なでするようなことは言わなかった。 それどころか、仕事の合間の休憩時間の話し相手としても活躍してくれた。 柵では対処しきれない鳥類が作物を荒らそうとしたときには大声で俺を呼んだ。 とにかく、ゆっくり一家は十分すぎるほどに役に立ってくれた。 「れいむぅ・・・とってもゆっくりしてるね~」 「そうだね、まりさ」 「つぎのおにさんはれいむだよ!」 「「「ゆっくちにげるよ!」」」 また、柵と小屋に守られた畑で安全に食料を確保できるこの状況は一家にとって、とてもゆっくりできる環境だったらしい。 子ども達は赤ゆっくりから子ゆっくりへと成長し、餌を食べ終えた後に畑の周辺でよく鬼ごっこをしていた。 好奇心旺盛で俺に人間のことをあれこれ聞いてきたりもした。 「おにーしゃん!どうちでにんげんさんはむしさんをたべないの?」 「いや、食べられることは食べられるし、食べることもあるぞ」 「でも、おにーしゃんはたべないね!」 「虫はなぁ・・・人間には小さすぎるんだよ。あと、見た目がグロい」 「どうちて?おいちいのに?」 「人間の好みじゃないんだよ。さて、仕事に戻るからもう話しかけんなよ?」 「「「「ゆっくちりかいちたよ!」」」」 と、まあ、こんな具合に鬱陶しくも愛嬌のある奴らだった。 たまに引っ掴んで持ち上げてやるだけで「おしょらをとんでりゅみたーい!」と大喜びするので、散歩いらずな分犬よりも手間がかからない。 「おにーしゃん!いもうとたちにもおしょらちてあげてね!」 「「れーみゅもおしょらとびちゃいよ!」」 「「まりしゃもぶれいじんぐしゅたーちちゃいよ!」」 そうそう、そういえば相当ゆっくり出来たせいか、夏の間に家族が4匹ほど増えていたりする。 れいむ種とまりさ種が2匹ずつ。まだ生まれて間もない赤ん坊だが、にんっしんっで産まれたので結構大きい。 1回のにんっしんっで産まれたのは2匹で両種が1匹ずつ。 まずはれいむが産み、その次にまりさが産んだ。 そんなわけでいつの間にかこの一家は両親2匹に子ども8匹と言うかなりの大家族になっていた。 勿論、新しく出来た家族も親や俺の言うことをきちんと守って、虫や雑草を駆除してくれた。 おかげさまで、今年はいつもよりもずっと収穫が多かった。 そして収穫を終えた日の夜。 翌朝には一家に約束の大根を渡し、野に返してやらねばならない。 俺は前々から読者にも伏線すら提示せずに考えていたある計画を実行に移した。 そろーりそろーりと連中の小屋に忍び込むと、夏に生まれた子どもを各種族1匹ずつ捕まえ、いったん自分の部屋へ戻った。 それから、今までは常時開放されていた小屋の出入り口に扉を取り付け、しっかりと施錠も出来るようにした。 仕上げに、残った家族をこいつらの本能に刻み込まれた言葉で叩き起こした。 「ゆっくりしていってね!」 「「ゆゆっ!ゆっくりしていってね!」」 「「「「「「「ゆっくりしていってね!」」」」」」」 いとも容易く目を覚ました一家はしばらくのん気に「おにーさん、どうしたの?」などと言っていた。 が、やがて家族が減っていることに気づくと顔を真っ青にして右往左往し始めた。 「おにーさん!れいむのおちびちゃんがいないよおおおおお!?」 「そりゃそうだ。俺が預かったんだからな」 「どうしてそんなことするんだぜ!?」 「それはね!お前達との取引を無効にしたいからだよ!」 「「「「「「「「ゆゆっ!?」」」」」」」」 俺の突然の宣言に「びっくりー!」とでも言わんばかりに目を見開いて驚くゆっくり一家。 今までそれなりに仲良くしてきただけに、その信頼の全てを根底から覆す言葉が信じられないのだろう。 その証拠に、しばらく唖然していたれいむは我にかえるや否や、頬を膨らませてこう言った。 「おにーさん、じょうだんはやめてね!ゆっくりできないよ、ぷんぷん!」 初めて俺に出会った日から数えると、なんと100日以上もの付き合いがあるのだ。 流石に俺がそんなことをするとは思えない、或いは思いたくないらしい。 しかし、残念ながら全て事実であり、目をそらしても変わることの無い真実。 そのことをれいむ達に理解してもらうために、俺は近くにいた、親に連れられてここに来た1匹の子まりさを踏み潰してやった。 「「「「「・・・・・・ゆゆっ!?」」」」」 「これで分かっただろ?俺は本気だよ」 「ゆああああああああああああああああああああ!?」 「でいぶのおぢびぢゃんがあああああああああああああ!?」 「「「「「ばりぢゃあああああああああああああ!?」」」」」 家族が1匹踏み潰されたことでようやく事態の深刻さを認識した一家は恐怖と絶望に顔を歪め、彼女らの双眸からは涙が溢れ出している。 が、泣き止むまで待つのも億劫なので「ゆっくりしていってね!」を利用して半ば強引に泣き止ませると、即座に用件を伝えた。 「さっき言ったとおり大根はやらん。嫌なら全員殺す・・・理解したか?」 「「ゆぐっ・・・・・・ゆっくりりかいしたよ!」」 「「「ゆえーん!」」」 「おにーしゃんひどいよ!やくそくをやぶりゅなんてゆっくちしてないよ!」 「しょーだよ!ゆっくちできないよ!」 残り7匹のうち、5匹は自分の立場をしっかりと弁えてくれたようだが、2匹だけそうでないものがいた。 1匹は両親に連れられてきた子まりさで、もう一匹は夏に生まれた子まりさだった。 彼女らは「ゆっくりさせてね!」などとのたまいながら、成体一歩手前の体を思いっきり跳躍させて俺に体当たりを仕掛けてくる。 が、悲しいほどに痛くもかゆくもないのでしばらく黙ってその攻撃を喰らってやる。 最初はいい気になって「ゆっくりこうさんしてね!」などと言っていたが、やがて息が上がり、冷静になった頃には己の無力を理解した。 「「どほぢでじぇんじぇんぎがにゃいのおおおおおお!?」」 泣き叫ぶ2匹の呼吸は荒く、また体当たりを繰り返したせいでところどころ青あざが出来ていた。 ぼろぼろになりながら、己の無力をかみ締める姿は可哀想でどこか哀れみを誘うものがあるが、容赦することなくお仕置きを加えてやった。 「うりゃ!」 「―――――――――――――ッ!!?」 サミング、いわゆる目潰しを食らわして子まりさの目玉を両方とも抉り出すと、悲鳴にもならない金切り声が子多重に響き渡った。 両親はガタガタと震えながらも「やめてあげてね!いたがってるよ!」と俺に許しを請う。 その傍では素直に言う事を聞いた殊勝な子ども達が両親にへばりついて泣きながら、歯をガチガチと鳴らして震えている。 そして、当の子まりさは目のあった場所から餡子を漏らしながら床を転げまわっていた。 「ゆっくりにげりゅよ!そろーりそろーり・・・」 「ハイ残念、もう見つかった!」 「ゆゆっ!?やめてね!こっちこないでね!?」 子まりさの惨状を目の当たりにした子れいむもまた涙で頬をぬらしながら、必死に逃げ回っていた。 しかし、普段は開けっ放しの出入り口は閉まっており、この小屋には隠れられるような場所も無く、逃げ場所なんて何処にもなかった。 それでも子れいむは俺から逃げ続けた。俺がわざと泳がせていることにも気づかずに一心不乱に逃げ続けた。 そして、疲労が限界に達し、一歩も動くことが出来なくなった瞬間に彼女は俺によって光を奪われた。 俺は一家に食料の代わりに安全に越冬できる巣、以前から使用していたあの小屋を貸してやることにした。 ただし、扉はしっかりと施錠されているし、他の場所から外に出ることもできない。 勿論、食料をやるつもりは微塵も無いので、このままでは何も食べることは出来ず、飢え死にするのを待つだけである。 「そこで、赤ゆっくりのできる蔦やそれに成っている赤ゆっくりと大根を交換してやろうと思う。嫌なら飢えて死ね!」 「ゆゆっ!・・・お、おにーさんはあがぢゃんをあづめでどうずるの・・・?」 「いい質問だ。俺の家に連れて行ったお前らの子どもに食べさせる。ちなみにそれ以外の餌は与えない」 「「「そ、そんなひどいことちないでよ!?ゆっくちできないよ!」」」 自分たちの立場を理解しているとは言え、流石にこの提案ばかりは呑めないらしい。 必死の形相で抗議し、何とか俺から妥協を得ようと一生懸命媚びへつらったり、泣き落とそうとしたりしている。 が、やっぱり何の意味も無い。 「お仕置きされたいか?」 「「ゆゆっ!おしおきはやだよ!ゆっくりできないよ!?」」 「「「おしおきごわいよぉ~!」」」 「「ゆぎぃ!?お、おぢごぎいやあああああああああああああああああ!?」」 どんなに頑張ってもたった一言ですべてが消し飛んでしまう。 両親は子をかばい、子は両親にすがりつき、既にお仕置きを受けたものは気が狂ったかのように喚いていた。 そんなどうしようもなく無力な一家に向かって更に話を続ける。 「ちなみに家のほうの子どもの食事は君たちと交換した蔦や赤ちゃんだけだからね。ゆっくり理解しろよ?」 「「ゆぐっ・・・ゆ、ゆっくりりかいしたよ・・・」」 それから交換レートについても話し合い、蔦1本=大根の葉っぱ10g,赤ゆ1匹=大根の葉っぱ3gという相場に決定した。 ちなみに、うちで取れる大根1本の重さが1000gの可食部分が900g程度であるから蔦1本に赤ゆが5匹なると仮定して1本=25gである。 つまり、40本の蔦を手渡してようやく1kgの食料を得られるのだ。 一家はその分量を示されたときに少なすぎるとゴネたが、手近な成体間近の子れいむにお仕置きをしてやったら快く同意してくれた。 植物型であっても自分が生きたまま子どもを産めるだけの大きさに達しているのは両親と最初からいた4匹の計6匹。 ただし、子どものほうは蔦を3本も生やせば命に関わるだろうし、連続出産なんてとてもじゃないが出来ない。 勿論、いくら十分成熟している両親と言えど5本以上蔦を生やすと流石に危ないのは言うまでもない。 現在生き残っているゆっくりは7匹。 両親のれいむとまりさ、成体間近の子れいむが2匹と子まりさが1匹。 子ども達に関しては1匹のれいむを除いて全員お仕置きによって目を失ってしまっている。 そして、夏に生まれた子れいむと子まりさが1匹ずつ。 こちらは子まりさの方だけがお仕置きによって目を失ってしまっていた。 「ゆっぐ・・・ほどぢでごんなごどになっだのぉ・・・」 「ゆっぐぢでぎないよぉ~・・・」 「「ゆっぐちちだいよ~・・・」」 「くらいよ~・・・ゆっくちでいないよぉ・・・」 そんな絶望的な境遇の中で苦しみにあえぐ一家を眺めながら俺は小屋の出入り口へと向かっていく。 そして、たった一つだけ希望を与えて小屋を後にした。 「俺の部屋の子ども達は来年の農作業用だから餌以外は最高の環境でゆっくりしているぞ」 れいむとまりさは本当に賢い個体だった。 男の言葉を聞いて、意味するところを、男の意図をきわめて正確に把握していた。 また、ゆっくり特有の希望的観測をせずに自分たちの末路を理解した。 「れいむ・・・ごべんね。まりさがにんげんさんのおでつだいしようなんていったせいで・・・」 「ちがうよ、まりさ!れいむもさんせいしたんだよ!」 「「「ゆっくりできないよぉ~」」」 「もうやだ、おうちかえる!」 「おちびちゃんたち、ゆっくりがまんしてね!はるになったらおうちにかえれるよ!」 勿論、嘘だ。男は「部屋の子ども達は来年の農作業用」だと言っていた。 つまり、来年には子ども達がこの小屋で寝泊りをして虫や雑草の駆除に従事することになる。 その時、自分たちが生きていると余計なことを吹き込んでしまう恐れがある。 「きょうはゆっくりやすもうね!」 「あしたになったらきっとおにーさんもゆっくりできるようになってるよ!」 「「「「「ゆっくりりかいしたよ・・・」」」」」 しかし、その事実を伝えるのはあまりに酷だと判断した両親は何も言わず、ゆっくりすることを提案した。 両親の言うことを聞いて痛みや恐怖を堪えながら、そしてそれらから逃げるように子ども達は眠りについた。 彼女達はそれがこの世界で最後のゆっくりになることを知るはずがなかった。 「そろーりそろーり・・・れいむ、ゆっせーので、でいくよ?」 「ゆっくりりかいしたよ。ゆっせのーで」 あっという間に眠りについた子ども達を起こさないように静かに傍まで這いずって行った両親は掛け声と同時に子れいむに噛み付いた。 その子れいむは夏に生まれたばかりの子どもで、まだ小さく成体2匹にいきなり噛みつかれてはひとたまりも無い。 一瞬にして大量の餡子を失った子れいむは断末魔を残して終らないゆっくりへと旅立って行った。 「・・・もっと、ゆっくちちたかったよ・・・」 「「む~しゃむ~しゃ・・・ごべんねぇ・・・」」 そうして子れいむの亡骸を食べ終えた両親は次に両目を失った子まりさを食い殺した。 言うまでも無いことだが、出来ればこんなことはしたくないのだろう。 悲しみの色に染まった双眸からは涙が溢れ出し、水に弱い頬をふやけさせてしまっている。 夏に生まれた子まりさも同じように殺すと、その亡骸を両目を失った成体間近の子まりさ2匹の口にねじ込んだ。 舌を使って器用に口の奥へと運び、何とかこぼれ落ちないようにする。 その後、両親は我が子に頬をこすりつけていわゆるゆっくりにとっての交尾“すっきりー”をした。 途中で子どもが目を覚まし、「ゆっくりできないよー!」と泣いていたが、それでも無理矢理最後までやり遂げた。 「ごべんねぇ・・・」 「「も、もっと、ゆっくちしたかったよぉ・・・」」 「おぢびぢゃんだち・・・ごべんねぇ」 翌朝、唯一生き残った成体間近の子れいむが目を覚ましたとき、部屋には3本の蔦を頭に生やした両親しかいなかった。 それ以外のものは見慣れた壁と床と、わずかばかりの黒いかたまり、そして、10本の蔦を生やしている黒ずんだ大きな塊だけ。 朝早くにやってきた男は、以前のようにゆっくりしていることは無く、その蔦を全部引っこ抜くと足早に小屋を後にした。 「ねぇ、おかーさん・・・いもうとたちは?」 「れいむ、ゆっくりきいてね!」 「ゆっ・・・ゆっくりきくよ!」 神妙な面持ちの親れいむのただならぬ気配を察知した子れいむも真剣な表情になる。 「れいむのいもうとたちはね・・・・・・おかーさんたちがころしたんだよ!」 「ゆゆっ!?う、うそいわないでね!おこるよ、ぷんぷん!」 「ほんとうなんだぜ。いっぱいいてもごはんがへるだけだからころしたんだぜ!」 「ど、どほぢでぞんなごどずるのおおおおおおおおおお!?」 その残酷な言葉を聞かされた子れいむは泣きじゃくり、ぴょんぴょんと飛び跳ねながら両親に怒りをぶつける。 が、両親は「しかたなかったんだぜ!」とか「れいむのためだよ!」などと言うばかりで、何一つ納得のいく言葉を口にしてくれない。 やがて我慢の限界に達した子れいむは親れいむに飛び掛るがあっさりと弾き飛ばされ、まりさに取り押さえられてしまった。 「おがーざんのばがああああああああ!?」 「しかたないんだよ!こうしないとゆっくりできなくなっちゃうんだよ!」 「ぞんなのぢらないよ゛!ゆっぐぢでぎないおがあざんなんでゆっぐぢぢね!!」 厳しい自然の中で仲間を失った経験の無いこの子れいむにとって、生存のためでも仲間を切り捨てるなんてことは考えられない。 だから、親の気持ちも知らずに泣きつかれて眠るまでただひたすら呪詛を吐き続けた。 「ゆっくりしね・・・だって」 「おお、こわいこわい」 本来ならふてぶてしい表情で言うはずのこの言葉を、今ばかりは悲しみに満ちた表情で口走る。 ここにいてもいつか殺されるだけなら、いつか脱走を試みなければならない。 そして、そのためにはまず生き延びなくてはならないし、脱走の際に足手まといにしかならないものを生かしても仕方が無い。 そんな個体はよしんば逃げ延びても冬の野原や森で生き残ることなどまず不可能なのだから。 ならばさっさと間引いて一番逃げ延びる可能性のあるれいむだけでも救いたい。 また、きちんと蔦を提供することで、男の部屋の子ども達も何とか生き延びることができるかもしれない。 それが子どもが決して知ることの無い両親の想いだった。 頬を涙でぬらしながらも安らかな表情で眠る我が子の傍で2匹は再び6度に渡ってすっきりを繰り返した。 それが終わるとタイミング良く男がやって来て、さっきの分の餌(大根の葉っぱ650g)を床に置き、再び蔦を引き抜いていった。 結論から言えば両親は、餌には一切手をつけずに命を削って20本近い蔦を提供したが、子どもを逃がす機会を手にすることは出来なかった。 子れいむは両親の本心を理解しせず、度重なるすっきりで疲弊しているところを彼女に襲われたのが両親の死因となった。 小屋に残されたのは世間知らずで、両親ほど賢くもなかった1匹の成体間近の子れいむとおよそ1000g分の大根。 3ヶ月ばかり続く長い冬の間、最初の数日は両親の教えに反発するように適量以上を食べ続け、その後数日は妙な臭いを発する両親の死体で飢えをしのいだ。 が、やがてそれも尽き、2,3週間かけて子れいむはゆっくりゆっくりと飢えて、やせ衰えて、死んでいった。 「もっと・・・ゆっくり、したかったよ・・・」 おわり 善良なゆっくりは心理的な抵抗とは別の次元でも虐待しにくい気がする。 ちなみに、男の部屋の子ゆっくりは男が餌を管理してくれたおかげで無事生き延びました。 で、畑仕事を手伝いながら、10匹の子ゆっくりを授かり、冬には(以下略 このSSに感想を付ける
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※胴付きゆっくりがでます 厨ゆっくり注意 あとあんまりいじめてない 「ハッピーバスデイトゥーユー、ぱちゅりー。おめでとう」 「むきゅう!ありがとうおにいさん!」 「満1歳の誕生日だな、ぱちゅりー。何か欲しいプレゼントはあるか?」 「むきゅ・・・・・・」 「どうした?黙ってちゃ解らないぞ?」 「・・・・・・ぱちゅは、あれがほしいわ」 「え?アレって・・・えぇ!?アレ!?アレが欲しいの!?」 「むきゅう・・・・・・だめ?」 「いや、駄目ってわけじゃないけど、その・・・大丈夫なのか、ぱちゅりー?」 「むきゅ!だいじょうぶよ、おにいさん!」 「・・・・・・本当に?」 「ほんとうよ!ほんとうにだいじょうぶだから、おねがい、おにいさん!」 「・・・・・・本当の本当に?」 「だいじょうぶだから!だからおねがい、ぱちゅにあれをください!」 「・・・・・・そこまで頼まれたら断れないんだけどな」 「むきゅっ!?いいの、おにいさん!?」 「嫌だって言ってもどうせ勝手に持ち出すだろう?それくらいならくれてやるさ」 「ありがとう、おにいさん!ぱちゅ、このごおんはいっしょう・・・・・・」 「いやいいから。それより、もし無理だったらちゃんと返すこと。いいな、ぱちゅりー?」 「むきゅ!わかったわ、おにいさん!」 そんなやり取りをしたぱちゅりーの誕生日であった。 ゆっくり○○○りー それから一ヶ月。 俺とぱちゅりーは散歩に出かけていた。 ぱちゅりーの手にはあの日のプレゼントが握られている。 どうやらよっぽど嬉しかったらしく、あれから肌身離さず持ち歩いているというわけだ。 「むきゅー♪おにいさん、かぜがきもちいいわね」 モヤシなはちゅりーの身に余るものではないかと最初は心配していたが、どうやらそれも杞憂だったようだ。 どうせならもっと早くにあげても良かったのかもしれない。 「ゆっへっへ!!じじい、まりささまにおやさいをよこすのぜ!!」 「ゆぅっ!!れいむとまりさのためにじじいはあまあまもってきてね!!」 とか何とか思っていたら、いきなり野良ゆっくり共が飛び出してきた。 下卑た顔で餌を要求する奴ら。口悪いなぁこいつら。 「なにしてるんだぜ!?さっさとまりささまにおやさいもってこいのぜ!!」 「ゆっ!?まりさ、このじじいはきっとばかなんだよ!!だかられいむたちのいってることがわからないんだよ!!」 なんかこっちを無視して勝手に盛り上がっている野良共。 いや解ってるけど反応したくねぇんだよ。 「ゆっ!つかえないじじいなのぜ!そんなやくたたずはまりささまがころしてやるのぜ!」 「ゆぅ~!かっこいいよぉ、まりさ~!」 いまどきの野良ならこんな態度をとればどうなるか知っているだろうに、こいつらはそんなこともお構いなしに悪態をつきまくってくる。 野良になって日が浅いのか、よっぽど幸運だったか、もしくは底抜けのアホなのだろう。 「まりささまのいうことがりかいできないばかはゆっくりしね!」 「ゆ~ん!まりさぁ、そんなばかなんかころしちゃってね!」 ぽよぽよと跳ねながら近付いてくる野良まりさ。 あんまり触りたくないなぁ。そう思って、足を上げたその時・・・ 「そこまでよ!!」 ぱちゅりーが割って入った。 俺を守るようにぱちゅりーは立ちふさがっている。 「ゆっ!?まりさ、ぱちゅりーだよ!!」 「ぱちゅりーがいったいなんのようなのぜ!?じゃまだからさっさとどくのぜ!!」 突然の闖入者に驚く野良2匹。 正直俺もちょっと驚いてる。何してんのお前。 「おにいさんをきずつけようとするものはこのぱちゅがゆるさないわ!」 キッと野良まりさをにらみつけながら宣言するぱちゅりー。 ちょっと感動。あとでナデナデしてやろう。 「ゆひひひひひひ!!ぱちゅりーにゆるされなくってもけっこうだぜ!!」 「よわっちいぱちゅりーがれいむたちにかてるとおもってるの!?ばかなの!?しぬの!?」 ぱちゅりーを口汚く罵る野良2匹。 ゆひひひひって。久しぶりに聞いたぞキメェ。あと殺す。 「おにいさん、このぷれぜんと、あずかっててほしいの・・・・・・」 「ぱちゅりー、お前・・・・・・」 「だいじょうぶよ!すぐにこのまりさたちをやっつけるから、あんしんして!」 お前それ死亡フラグ立ててるよ。 そう思っても決して声に出さない。あとついでにぱちゅりーのプレゼントを預かる。 「まりさー!そんなぱちゅりーなんかころしちゃってね!」 「むきゅっ!」 「ゆっくりできないぱちゅりーは、まりささまにたおされてゆっくりしね!」 野良れいむのイラつく声援を受けながら、野良まりさはぱちゅりーに襲い掛かった。 「ぼぇ゛っ!!!?」 奇妙な声を出しながら野良まりさは道路に叩きつけられた。 もちろん叩きつけたのはぱちゅりーだ。 俺は見た。 まりさがぱちゅりーにぶつかろうとしたその瞬間、ぱちゅりーはまりさを片手で捕まえ跳躍、ぶんぶんと振り回しながら道路に叩きつけたのだ。 見紛う事なきメキシカンタイフーン。お前一体どこでその技覚えたんだ。 やっぱりアレの影響かもしれない。って言うかアレのせいに決まってる。 一ヶ月前、俺がぱちゅりーに贈ったものの正体。 それは広辞苑だ。 対人間ですら鈍器となるそれを、脆弱極まりないはずのぱちゅりーは一ヶ月肌身離さず持ち続けた。 そりゃあ鍛えられるってものだろう。 ぱちゅりー改めまちょりーが野良まりさに告げる。 「むきゅ。もうけっちゃくはついたわ。さっさとたちさりなさい」 「ゆげっ・・・!?い、いまのはなにかのまちがいなんだぜ!!まりささまはつよいんだぜ!!」 どうやら野良まりさの闘志はまだ折れていないらしい。見上げた根性だが、止めといた方がいいと思う。 「こんどこそ!!ぱちゅりーはまりささまにやられてゆっくりし・・・ぎぇっ!?」 あ、また捕まえられた。 「むきゅ!!」 まちょりーは思いっきり腕を振り回し、野良まりさを叩きつける。片手で。 右に。左に。壁に。道路に。何回も何回も何回も。うわ、すげぇ痛そう。 「ぼぎゅぇ゛っ!!ぶぉ゛っ!!え゛べっ!!ばびぃ゛っ!!」 ようやくまちょりーは野良まりさを開放した。 倒れ伏した野良まりさを見下ろすまちょりー。超強そう。 「ゆ・・・・・・ゆぎ・・・・・・」 「ばりざあああああああああああああああああああ!!!!」 最早息も絶え絶えといったところの野良まりさを見て泣きながら絶叫する野良れいむ。 「ばりざじっがりじでええええええ!!!いまでいぶのおながにはばりざのあがぢゃんがいるんだよおおおおおお!!!!」 「ゆ・・・・・・!?な、なんだってだぜ・・・・・・!?」 ここで非常にどうでもいい事が発覚した。 どうやらこの野良れいむの腹の中には野良まりさの餓鬼がいるらしい。 本当にどうでもいい。 「ばりざあああああああ!!!おながのあがぢゃんのだめにもがっでえええええええええ!!!」 「ゆ・・・・・・ゆゆ・・・・・・!!」 フラフラと立ち上がる野良まりさ。 まるでその目はチンピラから改心して己の信念のために戦う男のように澄んでいた。 え?なにいきなりいい人になったみたいな展開になってるの? 「まりさ・・・・・・ひくきはないのね・・・・・・?」 「ゆへへっ・・・・・・すまないのぜ・・・・・・まりさは・・・たいせつなものをせおっちまったのぜ・・・・・・」 なんかいきなり戦う者だけに通じ合う会話みたいなものをしだすまちょりーと野良まりさ。 いやちょっと待てよ。何なのこれ?何?俺がおかしいの? 「ぱちゅりー・・・・・・よわっちいとか、ゆっくりしてないとかいって・・・すまなかったのぜ・・・」 「いいのよ、まりさ・・・」 「ありがとうなのぜ・・・もうひとつたのみをきいてくれないのぜ・・・?」 「ぱちゅでよければいくらでもきくわ、まりさ・・・」 「まりさと、ほんきで・・・たたかってほしいのぜ・・・そうすれば・・・もしまけても・・・くいなくいけるのぜ・・・」 「!まりさ、あなたってゆっくりは・・・!」 80年代ジャンプ的会話を続けるまちょりーと野良まりさ。 もう突っ込むまい。 「わかったわまりさ!このぱちゅりー、ぜんしんぜんれいのこぶしをもっておあいてするわ!」 「それをきけて・・・あんしんしたんだぜ・・・!」 「いくぜ、ぱちゅりー・・・!ゆあああああああああああ!!!」 そう言って、野良まりさは跳躍した。 疾い。どこにそんな力があったのかというほどの速度。今までとは比べ物にならぬほどの疾さをもって、まちょりーに肉薄する野良まりさ。 思わず真面目になって解説してしまった。 「むきゅう!!」 だが、そんな野良まりさをまちょりーは掴んだ。 自身の最高の攻撃。それを受け止められて野良まりさは満足したのだろう。 まちょりーの指の間から、野良まりさの穏やかな笑みを垣間見た気がした。 まちょりーがキッと眦を上げた。 全力で戦った相手には全力で礼をしようというのだろう。 そうでなければ野良まりさとの約束を違えることになる。 「おわかれよ!!」 別れの言葉と共に、野良まりさの顔面を握りつぶす。 ぱちぇどうこく。 なんとなくだが、旋風が巻き起こっているような気がした。あ、目にゴミが入った。痛い。 野良まりさの・・・否、まりさの遺体がまちょりーの手から落ちる。 まちょりーは咄嗟にまりさを抱え、そっと道路にまりさを下ろした。 ズタズタとなった表情からは何も読み取ることが出来ないが、このまりさはゆん生の最後に何か大切なものを得たような気がする。 いつの間にかこのノリに慣れはじめた俺が言うのだから間違いない。 「さよなら・・・まりさ。あなたもまさしくともだったわ・・・」 そうだ。このまりさは強敵(とも)だった。これからもこのまりさは俺とぱちゅりーの胸の中に生き続けr 「ゆげぇっ!まりさがやられちゃったよぉ!」 空気を読まずに野良れいむが声を上げる。 「ぷんぷん!まったくまりさはつかえないね!れいむのためにじじいたちをころすこともできないなんて!」 ・・・ほぉ。 「せっかくおなかのなかにあかちゃんがいるってうそもついてまりさのやるきをださせたのに!ほんとうにぐずだね!」 あれ嘘だったんかい。この野良れいむ本当にいい根性してやがる。 「ゆっ!でもじじいとぱちゅりーはまりさにきをとられてるね!あのぐずもおとりくらいにはつかえるね!」 俺もまちょりーも思いっきりお前のこと凝視してるけどな。まちょりーに至っては睨んですらいる。 「じじいとばかなぱちゅりーがあのぐずまりさにきをとられているすきにれいむはにげr」 「にがさないわよ」 ガシッとまちょりーが野良改め屑れいむの後頭部を鷲掴みにする。 どうやらまちょりーは強敵(とも)をここまで侮辱されたのではらわたが煮えくり返ってるらしい。 「れっれいむをはなしてね!れいむはまりさがしんでしんぐるまざーになっちゃんたんだよ!」 じたばたと暴れてまちょりーから逃げ出そうとする屑れいむ。 いや嘘だって知ってるから。お前がでかい声で言ってるの聞いちゃったから。 「れいむはかわいそうなしんぐるまざーになんだよ!!かわいそうだとおもうなられいむにあまあまちょうだいね!!」 いきなりでかい態度で食い物を要求し始める屑。 うぜぇ。久々に殺したくなった。 「きいてるの!?ばかなの!?しぬの!?だまってないでれいむにあまあまちょうだいね!!」 「・・・・・・わかったわ、れいむ。ぱちぇがれいむをつれていってあげるわ」 「ゆっ!?つてれく!?どこに!?ゆっ!!もしかしたらゆっくりできるゆっくりぷれいす!?」 「ちがうわ、れいむ。れいむがいくところは、もっとべつのばしょよ」 「ゆっ!?なに!?どこ!?もったいぶらないで、さっさとれいむにおしえてね!!」 「げすゆっくりは、かこうじょにいけ」 本日二度目のぱちゅどうこく。 屑れいむの絶叫が青空に響き渡った。 おわり ――――― 何を書きたいのか自分でもわからない書き溜めです。 最初は ぱちゅりーに広辞苑持たせたら面白そうじゃね? ↓ まちょりー面白くね? ↓ なぜか80年代ジャンプノリ となってしまいました。反省している。 全く関係ない話なんだけどゆうかはギガンテックプレッシャーとジェノサイドカッター使えると思う。 というか使わせたい。 というか書く。いつか書く。書きたい。 このSSに感想をつける
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私はゆっくりを三匹飼っている。 結構な年をめしているゆっくりまりさと、成体と子ゆっくりの境ぐらいの、ゆっくりれいむとゆっくりありすである。 ゆっくりに詳しい人ならば察しはついていると思うが、ゆっくりまりさとゆっくりれいむは実の親子であるが、まりさとありすは餡が繋がっていない。 ありすとれいむは半分餡が繋がっている。 そう、ありすはレイパーありすに親れいむが襲われた結果生まれた子だった。 夜、夕食が終わった後私は飼っているゆっくり三匹と共にゆっくりした時間を過ごしている。 甘い物(ゆっくりに合わせて)でもつまみながらゴロゴロしてテレビを見るのだ。素晴らしき怠惰な時間。 それほど長い時間許されるわけではないが、短い間ながらもこの時間は至福の時である。ゆっくり達もこの時間は大好きなようだ。 「ゆゆ~、おにーさん、ゆっくりチャンネルをかえてねっ」 まりさが横になっている私の腰元によりかかりながら言った。ちょうど見ている番組が終わって、その後に放映される番組はあまり面白くない。 よって私はまりさに同意し、テレビのチャンネルを変えようとする。 「ありす~、リモコンとってくれ~」 私の声に顔を向けていたありすが「ゆっ?」と振り返る。 一拍置いて「ゆっくりわかったわ!」と応えてリモコンをとろうとするが、 「ゆっ? ゆっ? リモコンさんどこにあるのかしら?」 見つからないようでその場でキョロキョロしている。 「ありす、リモコンさんはしんぶんさんのうしろだよ!」 そんなありすに、うつ伏せに横になっている私の背中に乗るれいむ──ありすの姉が助け舟を出した。 れいむの言葉通り死角になっていた新聞の裏を見て、そこにあったリモコンを口に咥えてありすはリモコンを持ってきてくれた。 「はいっ、おにーさん」 「ありがと、ありす」 ありすからリモコンを受け取り、適当にチャンネルを変えていく。 特にめぼしいものはやっていないか、と思いながら変えていくと、ゆっくりを題材にしたドキュメンタリーが放映されていた。 他の人よりゆっくりに興味のある私は自然とそこでチャンネルを変える指を止め、ゆっくり達もその番組に興味を抱いたようなので、結局その番組を見ることにした。 その番組の主役は、野生のゆっくりの一家のようだった。まりさとれいむの番だ。 冒頭でなんと、れいむがが狩りに出ている間にまりさがレイパーありすの襲撃を受けた。これには私もゆっくり達も驚いた。 ゆっくりは突然の強姦現場に。私はこんな場面をゴールデンで流してよいのかという思いで。 『い゛や゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!! やべでぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!』 『んほぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!! ありずのあい゛をうげどっでぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!』 動物の交尾もテレビで放送しているから良いのかもな、と私が思い直していると、テレビを見ていたありすが「ぷんぷん!」と頬を膨らませていた。 「レイパーはゆっくりできないわ! とかいはじゃないわね!」 そのありすの言葉に、私もまりさもれいむも何も言わない。 ありすは自分がレイパーありすから生まれた境遇からか、いわゆる『性的なこと』に普通のゆっくりよりも強い嫌悪感を抱いていた。 特にレイパーありすは許せないらしく、昔、外に散歩に連れて行った時に見たレイパーありすの強姦現場に割って入ってレイパーありすを倒そうとした。 その現場はありすではなく私が止めた結果になったが、とにかく、ありすはレイパーが嫌いだった。 テレビはレイパーありすが好き放題すっきりし、襲われたまりさが息も絶え絶えになっているところだった。 ありすはそのままれいむとまりさの巣を出て行って、巣に弱ったまりさが残される。 れいむが狩りから帰ってきてその事実を知るのはこの二時間後らしい。編集でカットされたため見ている側としてはすぐ後に見えるが。 狩りから帰ってきたれいむは、弱っているまりさと膨らんでいるお腹で何が起こったのか察したらしく、怒り狂った。 だが怒りよりもまりさへの心配が強いのか貯蔵していたエサと飼ってきたエサを与えたり、かいがいしく看護をし始めた。 ここで場面はまた飛ぶ。今度は二日後だった。 まりさは元々病弱だったのか、はたまた襲われたダメージが酷かったのか、れいむの看護がありながら二日経ってもあまり回復はしていないようだった。 そうして、その後急に産気づいたまりさが己の命と引き換えに一つの命を生み出した。まりさの腹から生まれたのは、ゆっくりありすだった。 子ありすが生まれたと同時に息を引き取ったまりさ。テレビの中のれいむは「ばりざぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!」の滂沱の涙を流していた。 うちのゆっくり達も「ゆぐっ、えぐっ」ともらい泣きをしていた。後姿のため泣き顔は見えないが。感受性の強い子達である。 さて、どうなるのかと私は思う。 れいむはどうするのか。この子ありすを育てるのか、それともレイパーの子、まりさの命を奪った子として殺すのか。はたまた捨てるか育児放棄か。 どれをとっても、正解ではないし間違いではない。レイパーありすの事件なんて珍しいことではない。 その場合の被害者となったゆっくり達も、生んだゆっくりもいただろうし、堕ろすか、堕ろす術を知らなかったら産んだ後殺したゆっくりもいるだろう。 どっちが正しいのか。それは一概には言えない。正解なんてないのかもしれない。 それでも、産んで愛情をもって育てるのは稀な方だろう。そしてこのれいむは稀な方だった。うちのまりさと同じく。 番組のれいむはまりさが命と引き換えに残した子ありすを我が子のように大切に育てた。 泣いたらあやしてやったり、エサを採ってきて食べさせたり、ゆっくり出来ない事を教えてあげたり。 ありすはそんなれいむの愛情を受けて、すくすくと育った。このまま幸せに、何事も無くすごしていければ幸いなのだろうが、そうなると番組があまり成り立たない。 案の定と言うべきか、問題が起こった。まりさがレイパーありすに襲われ、そうして生まれた子供をれいむが育てているのは、群れのゆっくり達に広まったらしい。 決して表立っては言われなかったが、陰で色々と他のゆっくり達が噂している場面がテレビに映る。 曰く、『自分のではない子を育ててゆっくり出来るのか』と。 そんな噂は、ありすの耳にも届いた。薄々感づいていたらしく、自分が育ての親であるれいむの子ではないと分かると、やっぱりといった顔をした。 ゆっくりの表情は本当に分かりやすい。 ふと、そこで私はテレビを見ているありすの後姿を見る。この番組を見て、ありすはどう思っているだろうか。 いくら思考が単純なゆっくりと言えども、私とは他の生物だ。その気持ちを完全に推し量ることは出来ない。 ただ、ありすの後姿からは私はなんの情報も読み取れなかったがので、再び視線をテレビへと移した。 番組ではCMを明けて、子ありすと親れいむが喧嘩している場面から始まった。 どうやら何処かに行こうとしているありすをれいむが必死に止めようとしているらしい。 そしてその何処か、とはありすの実の親であるレイパーありすの所らしい。 実の親に会いたい。その気持ちは分からないでもないが、それでは育ての親であるれいむが軽視されている気がした。 ありすは必死に実の親を探しに行くといい、れいむはそれを懸命に止めようとしている。行かないでくれ、と。 ゆっくりは実の親子であれば顔を見ればすぐに相手がそうと分かるらしい。不思議な生態だ。 だからありすも実の親と直接会えれば分かるだろうから、決して無謀というわけではないだろう。 だが会ったことも無い、情報も全く無い野生のゆっくりを探そうと思えば一朝一夕では済むまい。 巣に帰らず旅になるかもしれない。すると残されるのはれいむのみとなる。それが、れいむにとっては嫌なのだろう。 親子喧嘩は白熱し、ありすは口論の末に大声で叫んだ。れいむに言葉をぶつけた。 「あかのたにんが、おかーさんづらしないでねっ!」 その言葉を聞き、私は思わず呆然としてしまった。 それは、言ってしまったらダメだ。それを言ってしまっては、終わりだろうと。 画面のありすはその後れいむの制止を振り切って巣を飛び出すが、ボロボロになって探しても親は見つからず、結局ほうほうの体で巣へと帰ってきていた。 何日かぶりの再会に親れいむは涙し、ありすはそんな親の姿に涙した。 その後二匹は仲直りし、これで泣けるでしょと言いたいかのようなハッピーエンドとなったが、私はさっきのありすの言葉が忘れられないでいた。 私は無意識の内に、ゆっくり達の後頭部へと視線を移していた。 ゆっくり達は「よかったね~」などと笑顔で感想を言い合ったりしていた。数十分前のことは、あまり覚えてないかもしれない。 まりさの伴侶であり、れいむとありすの実の親である親れいむは、既に亡くなっている。 別にレイパーありすに犯し殺されたわけではない。ではないが、それがきっかけだったかもしれない。 まりさとれいむは私が野良だった二匹を拾ったのだが、れいむはどうやら生まれつき体が弱かったらしい。 それがレイパー事件を境に悪化し、ありすを産んだ六日後に息を引き取った。 それでもその六日間は濃密な日々だったらしく、ありすは今でも親れいむの思い出話を嬉しそうに語る。 記憶力が軒並み悪いと言われるゆっくりの中では、なかなかの記憶力である。それだけ、ありすの中で親れいむの存在は大きかったのだろう。 私はゆっくり関係でとある集まりに属している。 ゆっくりんピースのような大それた団体でも、虐待コミュニティのような熱心さでもない。 本当に、ただ近隣でゆっくりを飼っている人たちが、ゆっくりを連れて集まって、だべったり遊んだりする程度の、ゆる~い物である。 もっとも、親れいむが死んでからはありすが塞ぎこみがちだったので、ここ数ヶ月はあまり顔を出していないが、そろそろいいだろうと判断した。 次の日曜日、近所の市民公園に集まるらしいので、私もゆっくり達を連れてそこに行くことにした。 その旨を伝えるとまりさとれいむは久しぶりに友達に会えると色めき立ち、ありすは友達が出来るかな、と目を輝かせていた。 この集まりには飼い主同士の交流だけでなく、ゆっくり同士の交流もある。 ゆっくり同士で友達になって遊んだり、中には番になったりする場合もあるらしい。 まりさとれいむは親れいむが死ぬ前に何度か集まりに行ったことがあり、友達も何匹か出来ていた。 その友達に久しぶりに会えるので楽しみなのだろう。 私はまりさとれいむだけでも友達に会いに行くかと聞いたことがあったが、 「ありすをほうってゆっくりできないよ!」 と、返されてしまった。そう言われては無理に連れてはいけない。 家族の交流に水を差すことは、私には出来なかった。 そうして次の日曜日。私はゆっくりを連れて近くの市民公園に来ていた。 かなりの広さを誇る芝生が一面に広がっており、幼児向けの遊具も多くある。 ゆっくり飼い主達の集まりは芝生にて、既に幾人かの奥様方やお兄さんお姉さん、お爺さんお婆さん方らはビニールシートを広げている。 弁当やお菓子、茶などを持ち寄った、ちょっとしたピクニックのようである。 私も青いビニールシートを敷いて、バスケットで運んできたゆっくり達を外に出した。既に他のゆっくり達は元気に芝生を駆け回って遊んでいる。 まりさとれいむは、この度この集まりのデビューとなるありすを連れて遊んでいるゆっくり達の方へと跳ねていった。 「みんなにありすをゆっくりしょうかいするよ!」 「みんな、ひさしぶり! ゆっくりしていってね!」 元気良く跳ねていくゆっくり達の後姿を見送りながら、私はビニールシートに腰を下ろした。 既に他の方々はお茶菓子などを広げて談笑に花を咲かせているようだ。しばらくぶりなので、私も挨拶をしに行こうか。 まだ昼前なのでお弁当はもう少し経ってからだろう。私が皆様に配ろうと思っていたクッキーを取り出すと、知った声が後ろからかけられた。 「久しぶりですね」 その声に反応し、振り返るとやはり見知った姿がそこにはあった。 「麗子さん、お久しぶりです」 ペコリと会釈をすると、彼女──麗子さんは「呼び捨てでいいのに」と言いながら、私の隣に腰を下ろした。 麗子さんはこの集まりの中では、私が一番よく話す人物だった。年が同じということもあり、よくゆっくりについて語り合ったりしたものだ。 今は確かゆっくりありすを飼っているはずだ。 「どうしたの。全然来ないから心配してたんだよ」 「ちょっと、こっちのゆっくりの家族事情が込み入ってまして」 「と、いうと?」 私は保温水筒に入れてきた紅茶とクッキーを麗子さんの分も一緒に広げながら、話すかどうか悩んだが、 「みんなっ、れいむのいもうとのありすだよ! ゆっくりしていってね!」 「ほらありす、みんなにごあいさつだよ」 「ゆぅ……ゆっ、ゆっくりしていってね!!」 ありすを皆に、自慢げに紹介しているれいむとまりさを見て、別に隠すことでもないかと思い直した。 「あのありす、見えますよね?」 「……うん、でも確か……」 「はい、まりさの伴侶はれいむでした」 「じゃあ、もしかして」 「お察しの通り、レイパーありすです」 私は事件の事を麗子さんに話し始めた。 あれは私が、まりさと子れいむを連れてゆっくりフードを買いに行っている間に起こったことだった。 私は最初、ゆっくりにあげるゆっくりフードについて悩んだ。どれをあげれば良いのかと。 知り合いに聞いたが、それでもれいむとまりさにあげるエサの条件に合うゆっくりフードは複数あったので、いっそのこと本人に選んでもらうかと思い、以来ゆっくりフードを買う時は食べるゆっくり達本人を連れて行っている。 あの日は親れいむの体調が芳しくなく、親れいむは家で留守番の運びとなった。 美味しいご飯を買ってくるからゆっくり待っていてね、と言うと親れいむは笑顔で「ゆっくりしているよ」と答えた。 そうして私がまりさと子れいむを連れて家に帰ると、そこには顎の下を膨らませてぐったりしている親れいむがいた。 私はすぐさまそれがレイパーありすの仕業だと理解した。窓は割られており、そこから侵入したと思われた。 まりさと子れいむは泣きじゃくって親れいむに寄り添ったが、命に別状は無かったようで安堵していた。 産もう、と最初に決断したのはまりさだった。親れいむが産みたいと思うなら、産もうと。 親れいむはというと、笑顔で「ゆっくりあかちゃんうむよ」と言っていた。 私は聞いた。なんでレイパーの子を産むのかと。 大体においてレイパー被害者のゆっくりは堕胎を選ぶ(野生ゆっくりの場合は胎生妊娠の場合は堕胎が出来ないので産んでから殺すか育児放棄をする)。 それなのになんで産むのかと。 二匹はこう答えた。 「ゆっくりしたあかちゃんにあうのに、りゆうなんかいらないよ」と。 その後親れいむは無事にありすを出産し、その後六日は家族仲良く過ごした。 皆、餡の繋がりなんか知ったことかと言わんばかりに、本当の家族のように仲良く過ごした。いや、ようにではないな、本当の家族だった。あの四匹は。 だが、傍目からは分からなかったが(少なくとも私とゆっくり達は気付けなかった)、親れいむは日に日に衰弱していったようで、六日目に静かに息を引き取った。 まりさも、子れいむも、ありすもわんわんと泣いた。涙が枯れるのではないかというほど泣いた。 その後しばらくありすは生まれたばかりの頃とは打って変わって塞ぎこんでしまった。 「だからしばらくは、ありすが落ち着くまで来ないようにしてたんです。まりさとれいむもありすに付きっ切りでした」 「そうだったんだ……」 私と麗子さんは、どちらともなくゆっくり達へと視線を向けた。 そこでは集まったゆっくり達にありすを紹介して周っているまりさとれいむが居た。 しかし、周りのゆっくり達は皆首を傾げている。皆知っているのだ、まりさの伴侶はれいむだったはずと。 だから、家族として紹介されたありすに疑問を抱いている。 「むきゅ、まりさのおくさんはれいむのはずよ」 「なんでありすなの?」 「わからないよー」 ゆっくり達は皆口々に疑問をぶつける。 中には 「そのこはまりさのおちびちゃんなの?」 と、ストレートに聞いてくる者もいた。 だが、まりさとれいむはそんな質問にも毅然としていた。 「ぷんぷん、れいむとありすはまりさのじまんのおちびちゃんだよ!」 「ありすはれいむのじまんのいもうとだよ!」 そう言われては何も言えない。ゆっくり達は口を噤んだ。 しかし、ゆっくりが単純なのかここの集まりのゆっくりが単純なのか、十分後には皆そんな事は気にしなくなり、ありすも混ぜてみんなで楽しく遊び始めた。 皆実に良い子達である。 「…………ん?」 私はふと、見知らぬゆっくりを目にした。 別に私は全てのゆっくりの見分けがつくわけではない。だがここの集まりのゆっくり達は大体覚えている。 それになにより、そのゆっくりは装飾品に普通のゆっくりにはない飾りをつけていた。 「麗子さん、あのゆっくりって……」 「あの……? あぁ、あれは成田さんのゆっくりよ」 「成田さん?」 「ほら、あそこ」 麗子さんが指差す先、そこにはそこには私より二つか三つばかり年上の人たちのグループがあった。 そしてそこに、私の見覚えの無い顔を見つけた。 「あの人ですか」 「そう、君が来ない間に新しく来始めたの。なんでも家がお金持ちらしくてね、ゆっくりにも結構お金かけてるんだって」 言われ、ゆっくり達のグループに目を戻した。 先ほど目に付いたゆっくりは、髪につける装飾品にまた別の飾りをつけていた。ブローチだったり金の刺繍だったりと。 確かに遠めに見ても高そうだとは思えた。 そんな高そうな飾りをつけているゆっくりはれいむ種まりさ種ありす種ぱちゅりー種ちぇん種みょん種といた。六匹も飼っているとは。 ゆっくり達は生まれつき持っている自分の装飾品が命の次に大事だ。それがなくてはゆっくり出来ないからだ。 自分の生まれつきの装飾品ではなく、人間が用意した別のリボンなどをつけてゆっくり出来ないと泣くゆっくりがいたが、自前の装飾品に何か手を加えることはいいらしい。 それこそ物によってはよりゆっくり出来ると喜ぶそうだ。 あの高そうな追加飾りも、その一つだろう。 「後で挨拶しておこうかな」 その後お昼時となり、飼い主ゆっくり皆入り交ざってのお弁当タイムとなった。 私は麗子さんと一緒に先ほど成田さんが居たグループに混ざった。麗子さん程話したことはないが、皆見知った仲である。久しぶりに来た私を歓迎してくれた。 成田さんにも挨拶しようかと思ったが、成田さんのゆっくりは結構なグルメでわがままらしく、成田さんは自分のゆっくりにエサをあげるのにつきっきりで忙しそうだったので辞めておいた。 「どぼじでいづものじゃない゛の゛ぉ!?」だとか「こんなおそとでたべるなんていなかものだわっ!」と成田さんのゆっくり達の声が届いて、私達は苦笑いした。 ゆっくり達はゆっくり達で(成田さんのゆっくりを除いて)仲良く雑談しながら楽しくお弁当を食べていた。 成田さんちのようなセレブ~、なゆっくりにこんな集まりは場違いなのではと思ったが、遊んでいる時は本当に楽しそうに遊んでいたので、それほどでもないようだった。 「む~しゃ、む~しゃ、しあわせ~♪」 「むきゅ、ありすすごいたべっぷりだわ」 「とってもとかいはだわ♪」 ありすは早速仲の良い友達が出来たようで何よりだ。麗子さんのありすとも仲良くなったようだし。 後で聞いたことだが、どうやらありすは体格が良いようで、ゆっくりの仲では優しい力持ちのような印象を受けていたらしい。 あまり想像が出来なかったが、ゆっくりがゆっくりについて語ったものなら、間違いではないのだろう。 この日は私にとってもゆっくり達にとっても充実した一日となった。 やはり来て良かった。遊びつかれてぐっすりと眠っているゆっくり達の入ったバスケットを抱えて、私は帰り道、そう思った。 集まりの日以来、れいむとありすはしきりに次に皆と会える日はいつかと聞いてきた。 「ゆゆ~、おにーさんつぎはいつみんなにあえるの?」 「みんなとゆっくりしたいわっ」 「まだ未定だよ」 足に擦り寄りながらそう訊ねてくるニ匹を見て、まりさはどうしたのかと思った。 まりさはというといかにも興味無いといった仕草であさっての方向を向いているが、ちらちらとこちらを窺っているのがあからさまに分かる。 「まりさは気にならないのかい?」 「ゆっ!? まっ、まりさはおとなだからみんなとあえなくてもゆっくりできるよ!」 嘘だった。 口の端がぴくぴく動いている。まりさは嘘をつく時、そうなる癖があった。 「まりさ、口の端が動いてるよ」 「ゆっ!?」 まりさにはこの癖を何度か指摘したが、一向に直る気配は無かった。 結局、まりさも友達に会いたいのだろう。私は微笑ましさに口元を緩めながら、ネットの掲示板やメールをチェックする。 まりさはれいむとありすにも癖を指摘されて、「ゆっくりうそじゃないよ」と言い訳をしていた。 「おにーさん、あのピカピカしたこまたくるかな?」 「ピカピカ? ……あぁ、成田さんとこのか」 確かに装飾品はピカピカしてたな。 「会いたいのか?」 「ゆゆっ!? ちがうよっ、ちょっときになっただけだよ!」 そう言うれいむの口元もピクピク動いていた。 その二週間後の日曜日、再びゆっくりと飼い主達が集まった。結構暇人が多いのか、前回と同じくかなりの出席率だった。前回居た人の中では成田さんだけがいない状態だった。 前回と同じ公園であった。このような場所を選ぶのは、ゆっくり達が元気良く遊べるようにと配慮した結果である。 「皆、今日はどうするんだい?」 「まりさはおともだちとひなたぼっこするよ」 「れいむはみんなとこうえんをぼうけんするよ!」 「ありすもよっ!」 まりさは公園の中心で同年代のゆっくり友達と遊び、れいむはありすと、その他数匹の友達と一緒に公園を隅々まで散歩するらしい。 この公園にはゆっくりの害となる動物は住み着いていないし、飼いゆっくりの証であるバッジもつけてるから安全だろう。 そもそもそれぐらいの安全が確保されている所でなければ、ゆっくりをおいそれと連れてはこれない。 「それでも心配なんですね」 「まぁ、ですね」 私はれいむとありす達の後を尾行していた。麗子さんと一緒に。 気付かれない程度の距離を保って、ゆっくりと後を追う。目先の楽しみに夢中なゆっくり達は滅多なことでは後ろを振り向かないから気付かれないだろう。 れいむ達はまず、公園を四角に見立てた際の辺を辿って一周するようだ。 あまり外に出たことのないありすは色々と珍しいのか、なんでもないような物にさえ目移りしながら跳ねている。 「ありす、ゆっくりしないとあぶないよっ」 「ゆゆっ、ゆっくりきをつけるわおねーちゃん」 足元がお留守で危なっかしかったが、れいむの注意や他のゆっくり達が気を使ってくれたおかげで何事も無く四角形の角まで辿り着いたありす。 柵に囲われた向こう側には、公共道路がある。歩道を人が往き、車道を車が駆け抜けている。 「ゆ~? おねえちゃん、あれは〝くるまさん〟?」 「そうだだよ、ぶつかったらゆっくりできないからここからでちゃだめなんだよ」 「ゆっくりわかったわ」 そう言えばありすは車を生でを見るのが初めてだったか。 外に出る時も大体はバスケットに入れて運んでいるから外は見れないだろうし。 車の危険性をいざという時のために教えておいた方が良かったかと思ったが、この機会に実際に目で見て学んだだろう。 その後れいむとありす達は公園をグルッと一周したが、特に目新しいものは無かった。 もっとも、それは私から見た感覚であったため、ありすにとってみれば違った感じ方をしたのかもしれないが。 この日もいつも通り、飼い主達とゆっくり達の交流はつつがなく終わり、陽が紅くなるころ解散する流れとなった。 何故かこの時、ありすはしきりに公園の外の方を眺めていた。 ゆっくりの寿命について、私は何も知らない。。あまり考えたこともなかった。 実際、ゆっくりが寿命で死んだ話をあまり知らない。ゆっくりの死因の殆どが外的要因か病気だからだ。 だから私は、まりさが最初老衰だと知った時、全く動揺を抑えることが出来なかった。 あのありす二度目の集まりの日、家に帰った後──いや、家に帰る道中から既にまりさは元気が無かった。 もしかしたらそれより前に兆候があったのかもしれないが、私はまたもやそれに気付くことは出来なかった。 仮に気付くことが出来たとしても、老衰など避ける事が出来ないのだから致し方ないとしても、私はまた親れいむの時の繰り返しかと悔いた。 「ゆ~、まりさおかーさん……」 「まりさおかーさん……」 れいむとありすが積み重ねたタオルの上でぐったりとしているまりさを心配げに見つめている。 あの日曜日の日から一週間。日に日にまりさは弱っていった。 知り合いに聞いたりネットや本で調べたり。事例が少ないから調べるのに時間がかかったが、まりさのこれは老衰、つまり寿命であることは判明していた。 ゆっくりの寿命は、やはり確認できた個体数が少ないため参考程度にしかならないが、概ね三年から八年と言われているらしい。 まりさを拾って既に二年が経過している。拾った時点の大きさで生後一年以上は経過していただろうから、寿命が来たとしてもありえない話ではなかった。 それに、調べた事例の中でも野生のゆっくりは寿命が短い傾向にあった。 「ゆぅ……おちびちゃん、ゆっくりしていってね」 『ゆっくりしていってね…………』 まりさの弱弱しい挨拶に揃って返す二匹。 まりさはそんなれいむとありすに満足気に微笑むと、私に向かってこう言った。 「おにーさん、おちびちゃんたちをつれていってあげてね……」 「なんだ、知ってたのか……」 実は今日も、皆で集まらないかという呼びかけがあった。麗子さんから来た呼びかけの電話をまりさは聞いていたのだろう。 私はまりさがこんな状態なので行く気は無かったし、れいむとありすが多分行かないと言うだろうと思っていた。 前にありすが塞ぎこんだ時は、まりさともれいむも一緒になって家から出ずありすに付きっ切りだったからだ。 しかし、そんな私の考えに反してまりさはれいむとありすに、細々とした声ながらも 「おちびちゃんたちはゆっくりあそんでね……。おちびちゃんがゆっくりしてると、まりさもうれしいよ……」 そう、笑顔で言ったのだった。 れいむとありすは何か言いたげだったが、何も返さなかった。 ただこくり、と頷いた。私は二匹は家に残ると思っていたのだが、まりさの笑顔に負けたのか、それとも何か別の思いがあったのだろうか。れいむとありすの後姿は、ぴくぴくと震えていた。 どちらにせよ、一週間後に私はれいむとありすを連れてあの公園に行くことになった。 過去の事例からして、恐らくまりさが親れいむと同じ所に行くのも、一週間後ぐらいだろう。 「そう、まりさちゃんが……」 「まぁ、寿命で死ねるなら、ゆっくりした生涯だったと言えなくもないですが……」 「そればっかりは、どうしようもないね」 「せめて幸せに逝けることを願ってますよ」 次の日曜日、私はまりさの願い通り、れいむとありすを連れてあの公園に来ていた。 まりさはあれから、日に日に一日あたりの睡眠時間が増えていた。 今もきっと、留守番しているまりさは寝ていることだろう。 れいむとありすは公園の冒険にまた出ている。今度は別々、一匹だけで周ってみるそうだ。 私が座っているビニールシートから見える範囲では、成田さんのゆっくり、れいむ種まりさ種ぱちゅりー種ちぇん種みょん種が他のゆっくりの視線を集めていた。 「…………ん?」 よく見てみる。高そうな装飾品を付けている成田さんのゆっくり。確か六匹いたはずだ。 だが、今ここから見える範囲では、五匹しかいない。どこか別の場所にいるのだろうか。 ────嫌な予感がする。 「麗子さん、ちょっとれいむとありす探してきますね」 「また心配?」 「えぇ、ちょっと」 立ち上がり、私は公園を駆けた。その足は無意識的にある場所を目指している。 第六感としか言い様の無い感覚に突き動かされ、私は走った。 公園の外へと。 「ゆっくりはんせいしたかしら?」 ありすのその声が聞こえて、私は足を止めた。 何故かそのまま、気付かれぬようにそっと身を伏せていた。視線の先には、私の飼っているありすと、成田さんのありすがいた。 「なにをはんせいするの!?」 公園の外の歩道。今こそ人がいないそこで、二匹は向かい合っていた。成田さんのありすは頬を膨らませて怒っている。 「あなた、ありすのおちびちゃんでしょ? すぐにわかったわ」 成田さんのありすは、自分の言葉にありすが答える前に膨らませていた頬をしぼませ、そう言った。 言われたありすは、何も答えない。 私はそのやり取りを見て、ゆっくりの親子は相手の顔を見ればすぐに相手がそうだと分かるという生態を、私は思い出していた。 そして、思い、思い出す。 成田さんのありすの言葉通り、成田さんのありすがレイパー事件の犯人だった場合。 あの時窓は割られていた。普通に考えれば、ゆっくりが民家の窓を割れるわけがないとすぐに気付いたはずだ。 そう割れるわけがないのだ。野生のゆっくりが、たとえレイパーモードのありすといえども。 古い時代の薄い窓ガラスならともかく、現代の民家の窓を饅頭がそう簡単に割れるわけがない。 だが、野生のゆっくりではなく飼いゆっくりだったら? 犯行に人間が絡んでいるとしたら、どうだろうか。決して不可能ではなくなる。 人間が窓を割って、ゆっくりを投入する。人間は入らず、ゆっくりだけ。 そうすれば、野生ゆっくりの犯行に、見えるかもしれない。 「ありすのかわいいおちびちゃんが、こんなところにつれてきてなにするの?」 成田さんのありすは、小ばかにしたような嘲笑を浮かべながら、そう言った。 言った瞬間、ありすが爆発的な速度でその体を突っ込ませた。 激突。成田さんのありすはありすに体当たりされ、吹っ飛んだ。 「ゆびっ!?」 そしてそのまま、ありすは成田さんのありすを踏みつけたはじめた。 成田さんのありすの上で、何度も何度も跳ねて、踏みつける。全体重をかけた渾身の攻撃を。 「れ゛い゛ばーはじねっ!」 ありすは濁った怨嗟の声をあげながら、常とは違う怒りの形相に顔を歪ませていた。 成田さんのありすは、ありすに踏まれる度にカエルの潰れたような声をあげながら、その体をボロボロにしていった。 何度も何度も、何度も何度も。 ありすが連続で踏みつけることによって、成田さんのありすは顔面ボロボロ、髪もボサボサ、皮も破れているところがあるという有様になっていた。 五十回か百回だろうか。数えてはいないがそれぐらいだと思える程には踏みつけたありすは、成田さんのありすから降りてその髪を咥えた。 成田さんのありすはまるで虐待趣味の人間に出会った後のようにボロボロに見えた。 だがまだ体力的に余力はあったのだろう。成田さんのありすは先ほどのありすの声に負けない程の声量で言った。 「ゆびゅっ……なにずるの! あなだま゛ま゛をごろずづもりっ!?」 餡の関係から言えば、成田さんのありすにそう言う権利はあった。そして続けて言った。 「いっでおぐげど、ありずがあのでいぶをあいじであげながっだら、あなだはうまれながっだのよ!? わがっでるの!? あなだはままをごろぞうとしているのよっ!」 「ありすのおかーさんは、れいむおかーさんとまりさおかーさんよ」 ありすは踏みつけたことにより、熱が冷めたのか冷たくそう言うと、成田さんのありすをずりずりと引っ張り始めた。 「ふんっ、なにいっでるの! ばりざはあなだをそだでただけでしょ! あなだのままはありずよっ! ままをごろずなんでとかいはじゃないわ! レイパーとままごろしだったらどっちがいなかものかしらっ!? ありずはだれもごろじだごどはないわっ!」 ありすは成田さんのありすのマシンガンのような言葉にも一切反応せず、その体を引っ張っていく。 車道へと。 歩道と車道の境。あと少し出れば車道。そのもう少し出れば轍であろうそこに、ありすは成田さんのありすを引きずっていった。 何をするのか、ようやく成田さんのありすも理解出来たようだ。 成田さんのありすが何か言おうとする。また「ままを殺すのか」とでも言うつもりだったのかもしれない。 ただ、それより先にありすが一言、言った。 「あかのたにんが、おかーさんづらしないでね」 ブンッ、とありすは口に咥えた髪を振るって、成田さんのありすを車道へと放り投げた。 轍へと着地した成田さんのありすは、何かを叫ぶ前に、ちょうどよく通ったワゴンのタイヤによって踏み殺された。 辺りに飛び散るカスタードクリーム。不恰好に潰れた皮。コロコロと歩道へと転がってきた眼球。 拍子抜けするぐらいあっさりと、成田さんのありすは死んだ。 呆然としている私の足元に、何かが擦り寄ってきた。 顔を下に向ける。れいむだった。 「れ、れいむ……」 「ゆぅ……さきをこされちゃったよ……」 「れいむ、知ってたのか……?」 「うん」 「ありすから聞いたのか?」 「ちがうよっ、でもありすはうそがへたなんだよ」 「れいむも、あのありすを殺すつもりだったのかい?」 「ゆっくりしてたけっかがこれだよ」 成田さんのありすの死は、事故ということで処理された。目撃者である一人と二匹が揃って同じ証言をしたのだから。 成田さんのありすと仲良くなったありすが、うっかり公園の外まで連れて行ってしまって事故にあわせてしまった。 私は公園の皆に、そう説明した。 その後は不幸な出来事が起こってしまったがゆえに、そのまま解散となった。 皆が立ち去る中、私はレイパー事件のことについて成田さんに何か言おうかと思ったが、回収できたありすの死骸に向かって泣いている成田さんを見ると、そんな気もなくなった。 成田さんも成田さんなりに、ありすを可愛がっていたのだろう。どんなやり取りがあったかは知らないが、ありすの要望を聞いてやろうと思ったのかもしれない。 …………だが、後日窓の修理代ぐらいは貰おうかと、思った。白を切られたら諦めよう。 家に帰ると、まりさは起きていた。 相変わらず元気は無いが、目は開かれていた。きっと、れいむとありすと帰りを待っていたのだろう。 「ただいま、まりさ」 『おかーさん、ただいま』 家に帰るとまず、れいむとありすはまりさの所へと向かった。 まりさは穏やかな目をしていた。かつてのようなゆっくりらしい無邪気で元気なものではなく、これから死に逝く者の、穏やかな目だった。 「れいむ、ありす……。きょうはなにをしたの?」 「ゆっ……」 まりさの質問に、れいむは押し黙った。押し黙って、そのまま俯いてしまった。 ありすも顔を逸らしこそしなかったが、口を開けずにいた。 「まりさにかくれて、なにかした……?」 その質問がまりさの口から出た時、私はれいむとありすよりも飛び上がるかと思った。 もちろん私は飛び上がらなかったし、れいむとありすも飛び上がらなかった。 だが、皆内心で汗をかいていたと思う。 「ゆっ、なにかって、なに……?」 いつもと違う尻すぼみな口調で、れいむは逆に訊ねた。 「ゆっくりできないことだよ……」 「な、なにもしてないよ」 「ゆっ、そうよ」 まりさと言葉にれいむが慌てて言い、ありすもそれに追従した。 私もれいむもありすも、まりさに本当の事が言えないでいた。 これから死んでいくであろうまりさに隠し事をすることよりも、変な心配をされたままの方が、嫌だと思ったからだろうか。 理屈は後でいくらでもこじつけられるだろうが、今この時、私はれいむとありすの嘘を告発する気はなかった。 「おちびちゃんはまりさにないしょで、だいじなことをしたんだね……」 だから、まりさがそう言った時、私は心が読まれたのかと思った。 だが、そうでは無いようだった。まりさは私と同じく驚いているであろうれいむとありすの顔を見据えると、静かに、言った。 「れいむ、ありす……おくちがぴくぴくしてるよ。ふたりはうそをつくとき、そうなるんだよ。 まりさににて、ふたりともうそがへただね……」 何でもない言葉だ。他愛ないやり取りだったかもしれない。けれども私は、動くことが出来ずに息を止めた。 ざまみろ、と柄にもなく心の中で叫んでいた。 餡の繋がりだとか、実の親だとか、まりさはそんなもの軽々と無視したかのように思えたのだ。 まりさは、まりさとれいむとありすの連続性を証明した。理屈ではないが、餡の繋がり関係ないじゃん、と私は一人呟いた。 れいむとありすは何も喋らず、ただ、泣きじゃくっていた。 翌日、朝を迎えるとまりさは息を引き取っていた。 残された姉妹は二匹、そっと親の亡骸に黙祷を捧げた。 朝日を浴びるまりさの死に顔は、とっても安らかだった。 おわり ───────────────── これまでに書いたもの ゆッカー ゆっくり求聞史紀 ゆっくり腹話術(前) ゆっくり腹話術(後) ゆっくりの飼い方 私の場合 虐待お兄さんVSゆっくりんピース 普通に虐待 普通に虐待2~以下無限ループ~ 二つの計画 ある復讐の結末(前) ある復讐の結末(中) ある復讐の結末(後-1) ある復讐の結末(後-2) ある復讐の結末(後-3) ゆっくりに育てられた子 ゆっくりに心囚われた男 晒し首 チャリンコ コシアンルーレット前編 コシアンルーレット後編 いろいろと小ネタ ごった煮 庇護 庇護─選択の結果─ 不幸なゆっくりまりさ 終わらないはねゆーん 前編 終わらないはねゆーん 中編 終わらないはねゆーん 後編 おデブゆっくりのダイエット計画 ノーマルに虐待 大家族とゆっくりプレイス 都会派ありすの憂鬱 都会派ありす、の飼い主の暴走 都会派ありすの溜息 都会派ありすの消失 まりさの浮気物! ゆっくりべりおん 家庭餡園 ありふれた喜劇と惨劇 あるクリスマスの出来事とオマケ 踏みにじられたシアワセ 都会派ありすの驚愕 都会派ありす トゥルーエンド 都会派ありす ノーマルエンド 大蛇 byキノコ馬
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※ゆっくりが普通に現代社会にいる変な世界観です。 ※同作者の現代社会ものとは大体世界観を共有していますが時々矛盾が生じています。 ※作中で矛盾していることも多々あるので細かいことは気にしないでください。 数年前に突如現れ、急速に社会に浸透していった(ような気のする)ゆっくりと呼ばれる新たなる生命体。 人間の生首が膨張したような容姿のそいつらは饅頭のクセに生きていたり、どこから来たのは全く不明だったりとあまりに謎が多すぎる。 が、目新しいものや珍しいものを好む人々はその「ゆっくりしていってね!」とか「ゆーっ!」などと珍妙な鳴き声をあげる未知の存在をあっさりと受け入れた。 そして、社会にある程度浸透した以上、人間の真似事をさせて間違った可愛がり方をする輩がいるのもある意味では必然であった。 ~ゆっくりのことはゆっくりに~ そんな信念の下に設立されたのがこのゆっくりのためだけの学校だ。 学校とは言うものの、寿命も能力も根本的に異なる以上、人間のように何年も通い続けるわけには行かない。 だから、1週間ほど施設に泊り込んで飼いゆっくりにゆっくりとしての教育を施すことがこの学校の目的となっている。 今回のカリキュラムは記念すべき第1回目。 それだけに教師陣のゆっくり達も気合十分。きらきらと瞳を輝かせて生徒達がやってくるのを心待ちにしていた。 「れいむぅ!どんなこたちがくるのかな?」 「ゆっ!きっとみんなゆっくりできるかわいいこだよ!」 小さな、とは言ってもゆっくりには十分すぎるほど大きな学校のグラウンドで人目もはばからずにいちゃいちゃする2匹。 一方は平均的な大きさのゆっくりまりさで、もう一方もこれまた平均的な大きさのゆっくりれいむだ。 「ひ、ひるまからあおかんだなんて・・・いなかものね!?」 「むきゅ~・・・なにもしてないのにあおかんとかいうのはとかいはなの?」 「ありすはへんたいなんだねー、わかるよー」 「ゆゆっ!あ、ありすはゆっくりしたとかいはなれでぃーよ!」 人目をはばからないれいむ達の横でそんなやり取りをしているのはありすにぱちゅりーにちぇん。 ここにいる5匹のゆっくりが子ども達を見守るゆっくりの学校の教師達だった。 午前9時、カリキュラムの最初のイベント『校長先生のお話』の時間。 運動場には飼い主や親に連れられてやって来た30匹あまりの子ゆっくりと先ほどの教師達。 壇上では校長先生ことゆっくりゆかり、通称ゆっかりんがふんぞり返っていた。 「いまからこうちょうせんせいのおはなしだよ!」 「みんな、ゆっくりしずかにきいてね!」 先生達は運動場で沢山の同年代に囲まれて浮かれている子ども達を諭すが、子ども達の耳には全く届いていない。 あるものは近くにいた子とおしゃべりを始め、またあるものは運動場で仲間と遊び始めてしまった。 先生達がその場を何とか収めようにも流石に子ども相手でも30匹も居るとなると一苦労。 どれだけ「ゆっくりおはなしをきいてね!」と叫んだところで一向に事態が終息する気配を見せない。 そうこうしているうちに子ども達の世話をするはずのれいむが「どほぢでいうごどぎいでぐれないのおおおお!?」と泣き出してしまった。 「ゆ っ く り し て い っ て ね !!」 運動場に響き渡るひときわ大きな声の主は校長先生。 児童達や他の先生達もゆっくりの本能に従って「「「「「ゆっくりしていってね!」」」」」と返す。 返事が返ってきたのを確認したところでゆっかりん校長は話を始めた。 「ここはゆっくりするばしょじゃないよ!ゆっくりしたゆっくりにゆっくりなるためのばしょだよ!ゆっくりりかいしてね!」 「「「「「そうだよ!ゆっくりりかいしてね!」」」」」 「「「「「「「「「「ゆゆっ!ゆっくちりかいちたよ!」」」」」」」」」」 本当に理解できたのかいささか怪しいところだが、とにかくこうして1週間の学校生活が始まった。 1日目はれいむ先生によるお歌の練習の日。 「みんな、おうたさんはみんながゆっくりするのにとってもだいじなんだよ!」 「だかられいむといっしょにゆっくりおうたのれんしゅうをしようね!」 「「「「「「「「「「ゆっくちれんしゅうしゅるよ!」」」」」」」」」」 子ゆっくり達の元気の良い返事を聞いたれいむ先生は早速自慢の歌声を披露し始める。 人間にしてみればリズムも音程もあったものではないような歌声なのだが、子ゆっくり達はその歌声に聴き惚れていた。 「ゆ~♪ゆ~ん、ゆ~~ゆぅ~♪ゆん~~~ぅゆ~ゆ~♪」 「ゆゆっ!せんせー、すごくゆっくちしたおうただよ!」 「ゆぅ~♪ゆ~ん・・・ゆっ!みんなもいっしょにうたってね!」 不思議なものでこの場に居るゆっくりの大半は人間に飼われており、大抵のものはゆっくりよりも人間の歌のほうが優れていることを認めている。 つまりは人間と同じ評価基準を持っていることは紛れもない事実なのだが、どうやら「ゆっくりとしての上手さ」というまったく別の評価基準を持っているらしく、 1匹たりとも「おねーさんのほうがじょうずだよ!」などと言い出すものは居なかった。もちろん、空気を読んだわけでは断じてない。 「「ゆ~ゅ~ゆぅぅぅうう~ん♪」」 「ゆ~~~~~ゆぁ~~~~~~ゆぅ~~~~♪」 「ゆっ♪ゆ~♪ゆゆゆゆゆゆゆ~♪」 「「ゆ~~♪ゆゆゆ~♪ゆ~ゆゆ~♪ゆ~ゆゆ~ゆ~♪」」 「ゆゆゆ~♪ゆゆゆ~♪ゆゆゆっゆ~♪ゆゆゆっゆ~♪ゆゆゆゆ~♪」 先生に促された子ども達も一緒に歌い始める。 一緒に、と言っても自分たちの思い思いの歌を好き勝手に謳っているだけなのだが当人らは楽しそうだ。 そうして、思い思いのメロディーを口ずさんだゆっくり達は歌い終えると満足げな笑みを浮かべた。 何かをやり遂げたもの特有のどこか誇らしげで、非常に輝かしい表情だ。 「ゆ~っ!とってもゆっくちできたよ!」 「「「ゆっくちできたよ!」」」 「もっとゆっくちおうたうたうよ!」 皆で歌ったのがよほど楽しかったのか、子ゆっくり達はもっと歌いたいと主張しながら飛び跳ねている。 が、れいむ先生は「おうたはあとでもっとゆっくりうたうから、せんせーのはなしをゆっくりきいてね!」と言って子ども達を静かにさせる。 それから、ゆっくりにしては真剣な面持ちで子ども達に語りかける。 「れいむたちのゆっくりしたうたごえはね・・・てんしさんのうたごえなんだよ!」 「ゆぅ、てんししゃんの?てんししゃんってなに?ゆっくちできるもの?」 「てんしさんはね、いいこをゆっくりできるばしょにつれていってくれるゆっくりしたものだよ!」 「「とってもゆっくちできるんだね!」」 「れいむたちはね、にんげんさんのてんしなんだよ!いつもゆっくりしていないにんげんさんをゆっくりさせてあげられるんだよ!」 「ゆゆーっ!れいむたちはしゅごいんだね!」 「すごくゆっくちちてるんだね!」 妙に自信満々に「自分たちは人間をゆっくりさせてあげるために舞い降り天使だ」と力説するれいむ先生。 その意味をどれほど理解できているかは怪しいところだが、ここに居る子ゆっくりの大半は飼い主が大好きな飼いゆっくりだ。 みんな、自分が飼い主をゆっくりさせてあげられると思うと嬉しくてぴょんぴょん飛び跳ねながら微笑んでいる。 そんな子ども達を諌めながられいむ先生は更に続ける。 「でもね、にんげんさんたちだけがゆっくりするのはずるいよね?」 「ゆゆっ!まりしゃたちもゆっくちちたいよ!」 「だからね、にんげんさんにたべものかおかねさんをおねだりするんだよ!」 「おかねってなに?ゆっくちできるもの?」 「おかねさんはね、おいしいおかしをたくさんかえるんだよ!」 「ゆーっ!おかし!おかしっ!」 「れいむたちにゆっくりさせてもらったにんげんさんからはたべものかおかねをもらうんだよ!ゆっくりりかいしてね!」 「「「「「「「「「「ゆっくちりかいちたよ!」」」」」」」」」」 虐待界隈の人たちが聞いたら「ひゃあ、我慢できねェ!」を通り越して発狂しそうなれいむ先生の言葉をしっかりと心に刻む子ども達。 それから2,3度「お歌でゆっくりさせてあげたにんげんさんからおかねをもらおうね!」と復唱し、また皆で楽しくお歌を歌った。 お歌の授業は約2時間ほど続き、それが終ったところで今日の授業は終了。子ども達は仲良くなった子と一緒に遊び始めた。 昼食を食べ、遊い、お菓子を食べ、お昼寝し、お菓子を食べ、遊び、夕食を食べ、遊び、お菓子を食べ、夜更かしし、眠くなったら寝て・・・1日目が無事終了した。 2日目は朝の9時からまりさ先生によるご挨拶の練習の日。 「みんなごあいさつのしかたはしってるかな?」 「「「ゆゆっ!とうぜんだよ!」」」 「「「「「ゆっくちちていってね!」」」」」 「「「「「「ゆっくちちていってね!」」」」」」 まりさ先生の簡単すぎる質問にみんなで声を揃えて答える子ゆっくり。 元気いっぱいの子ども達の様子にまりさ先生はうんうんと頷くき、それからまじめな表情で語りだした。 「そうだね!ゆっくりしていってね、だよ!でも、みんなのそれじゃまだまだだよ!」 「ゆっ!まりさのゆっくりしていってねのどこがだめなんだぜ?」 「そーよ!ありすのゆっくりしていってねはすごくとかいはよ!」 「じゃあ、そこのありすとまりさ、まえにでてゆっくりしていってねっていってみてね!」 「「ゆっくりりかいしたよ!」」 2匹は意気揚々と子ゆっくり達の前、まりさ先生の隣に行くと思いっきり息を吸い・・・ 「「ゆっ・・・「ゆ っ く り し て い っ て ね !!」 「「「「「「「ゆっくちちていってね!」」」」」」」 元気いっぱいに「ゆっくりしていってね!」と挨拶をしたが、まりさ先生の挨拶によってかき消されてしまった。 それだけじゃない。まりさ先生は挨拶するときに満面の笑みを浮かべて可愛らしくぴょ~ん!と跳躍した。 隣にいた子ありすと子まりさはたった1回の実演で圧倒的な実力差を思い知らされた。 子まりさも子ありすも大きな声で挨拶する事にこだわり過ぎた為に、そのときの表情がゆっくりしていなかったのだ。 それに比べてまりさ先生のはどうだろうか? とても聞き取りやすい元気な声に、ゆっくりした表情、とても活力に満ち溢れてゆっくりした跳躍・・・全てが完璧だった。 「ゆゆっ!せんせーしゅごいぜ!」 「とってもとかいはだわ!」 「ゆっへん!みんなもがんばればすぐにまりさみたいになれるよ!」 「「「「「ゆっくちがんばりゅよ!」」」」」 まりさ先生の言葉に元気良く返事する子ゆっくり達。 とってもゆっくりした挨拶をするかっこいいまりさ先生に皆メロメロだった。 そこにいる誰もが同じことを思っていた・・・先生みたいになりたい、と。 「まずはぴょ~んぴょ~ん、だよ!まりさといっしょにゆっくりはねてね!」 「「「「ぴょ~んぴょ~ん!」」」」 「「「ぴよ~んぴよ~ん!」」」 「「「ぴょんぴょん、だよ!」」」 先生に倣ってぽよんぽよんと跳ね回る子ゆっくり達。 その真剣な姿につられて先生の指導にも熱が入る。 「さあ、もっとだよ!ぴょ~んぴょ~んぴょ~ん!」 「「「「ぴょ~んぴょ~んぴょ~ん!」」」」 「「「ぴよ~んぴよ~んぴよ~ん!」」」 「「ぴょんぴょんぴょん、だよ!」」 「つかれたよ!ゆっくちやしゅむよ!」 ちょっと疲れた子どもは休憩したりするが、まりさ先生は自主性を尊重しているらしく何も言わない。 そうこうしているうちにまりさ先生にも疲れの色が見えてきて、彼女が飽きたタイミングで跳躍の練習が終った。 「つぎはえがおであいさつするれんしゅうだよ!みんな、ゆっくりがんばってね!」 「「「「「「「ゆっくちがんばるよ!」」」」」」」 子ゆっくりの元気の良い返事を聞いたまりさ先生はにっこりと微笑むと、元気良く声を張り上げた。 「ゆ っ く り し て い っ て ね !!」 「「「「「「ゆ っ く ち ち て い っ て ね !!」」」」」」 「ゆ、ゆっくちちていってね・・・」 「ゆゆっ!ぱちゅりー、おこえがちいさいよ!」 まりさ先生の言うことを聞かずに小さな声で挨拶をする子が1匹。 その子はゆっくりぱちゅりーで、注意された途端「むきゅ~~~ん」と泣き出してしまった。 「どうしておおきなこえをださないの?せんせーにゆっくりおしえてね!」 だが、まりさ先生は優しい先生だ。 言うことを聞かないからと、頭ごなしに怒鳴りつけたりはしない。 先生の優しさに触れたぱちゅりーはもそもそと話し始めた。 「おねーさんのおうち・・・あぱーとなの。だからね、おおきなこえをだしゅとおこられちゃうの・・・むきゅぅ」 「ゆゆっ!それはおねーさんのかんちがいだよ!」 「むきゅぅ、しょうなの?」 「きのうれいむにきいたでしょ?まりさたたいはねぇ・・・にんげんさんたちをゆっくりさせてあげるてんしさんなんだよ!」 「むきゅ~?」 「だったらまりさたちがげんきじゃなかったらぱちゅりーのおねーさんはゆっくりできないでしょ!」 「むきゅ!さすがせんせいだわ!」 「ゆっくりりかいしたら、おねーさんのためにもいっしょにごあいさつのれんしゅうだよ!ゆ っ く り し て い っ て ね !!」 「「「「「ゆ っ く ち ち て い っ て ね !!」」」」」」 まりさの言葉のおかげで元気になったぱちゅりーは皆と一緒に笑顔でご挨拶の練習を続けた。 それからもまりさ先生の授業は続き12時くらいに終了した。 それから、子ゆっくり達は昼食を食べ、遊び、お菓子を食べ、お昼寝し、お菓子を食べ、遊び、夕食を食べ、遊び、お菓子を食べ、疲れていたので早めに寝た。 3日目はぱちゅりー先生と一緒にお勉強する日。 「むきゅ~、きょうはみんなでおべんきょうよ!」 「おべんきょうなんてゆっくちできないんだぜ!」 「「「「ゆっくちできないよ!」」」」 「む、むきゅ~・・・」 マッハで出鼻をくじかれたぱちゅりー先生、しょんぼり。 彼女の話を聞こうとしているのは最前列に陣取った同じぱちゅりー種だけで、他の子ゆっくり達は近くの仲間と遊び始めてしまった。 が、まがりなりにも彼女だって先生だ。こんなことでへこたれては居られない。 「むっきゅ~!おべんきょうしないとゆっくりできなくなっちゃうわ!」 「「「ゆゆっ!?」」」 「「ゆっくちできないの!?」」 「「「ゆっぐちぢだいよぉ・・・?!」」」 機転を利かせての「ゆっくり出来なくなる」発言は子ども達の心を十分以上に捕えたらしい。 友達と遊んでいた他のゆっくり達もすぐさまぱちゅりーのほうに向き直り、話を聞く体勢になった。 「むきゅ~・・・だいじょうぶよ!せんせいのおはなしをきくこはゆっくりできるわ!」 「「「「「ゆゆっ!ゆっくりおはなちをきくよ」」」」」 「みんなとってもゆっくりしてるわ!ぱちゅりーがおしえるのはかずのかぞえかたよ!」 「ゆゆっ!かずなんてかんたんだよ!いち、にー、しゃん、たくしゃんだよ!」 別にお約束のボケをかましたわけではない。ゆっくりの知能はせいぜいこんなものなのだ。 「むきゅ~・・・もりのなかでゆっくりするならそれでもいいけど、にんげんといっしょにくらすのにそれじゃだめよ!」 「「ゆぅ?どうちて、ダメなの?」」 「「「「かずなんてかじょえなくてもゆっくちできるよ?」」」」 「むきゅ!かずをかぞえられないとおしごとやこそだてでこまるのよ!おおきくなってからゆっくりできないのよ!」 「ゆぅ、どういうことなの?ゆっくちおちえてね!」 「にんげんのなかにはゆっくりできないひとがいるから、かずをかぞえられないとだまされてゆっくりできないのよ!」 最も数を数えられたところで時蕎麦程度の引っ掛けで簡単に騙されてしまうのだが、そこまでは頭が回らないらしい。 それに数を数えられる程度では大した効果もないのだが、その辺にも頭が回っていない・・・というか人間の知能をきちんと理解出来ていないようだ。 それでもぱちゅりー先生は妙に自信満々といった風な笑みを浮かべて、ふふんと偉そうに胸を張って話を続ける。 「せんせーもだまされそうになったことがあるのよ!おかしさんをごまいくれるっていったのによんまいしかくれなかったのよ!」 「「「ゆぅ、ごまいとよんまいってどっちがおおいの?」」」 「ごまいよ!」 「「ゆゆっ!ちょっとしかくれないなんてひどいよ!?ゆっくちできないね、ぷんぷん!」」 「「かわいいまりしゃたちをだますだなんて、ちんじられないぜ!」」 「でもぱちゅりーはかずをかぞえられたからだまされなかったわ!」 おおっー!と子ゆっくり達から歓声が上がる。彼女達の目には強くて大きくて賢い人間相手に対等以上に渡り合ったぱちゅりー先生への敬意が宿っていた。 もっとも、実際のところは相手が飼い主で、たまたまぱちゅりーに数の大小が理解できるのかを調べていただけなのだが。 が、そんなことは露ほども知らない子ゆっくりとぱちゅりー先生は上機嫌で授業を続ける。 「せんせいにつづいてじゅうまでのかずをかぞえるよ!」 「「「「ゆっくちりかいちたよ!」」」」 その後、1から10までの数字の発音の練習をし、何度か暗唱して、とりあえず全員が5まで数えられるようになったところで終業の時間になった。 子ゆっくり達は昼食を食べ、遊び、お菓子を食べ、お昼寝をし、お菓子を食べ、遊び、夕食を食べ、遊び、眠くなったら眠り、3日目も無事終了した。 4日目はゆっかりん校長と一旦お休みしてゆっくりする日。 事実上、寝泊りするための場所でしかない校舎に集まった子ゆっくりと先生たちは皆ゆっくりとしていた。 「ゆぅ~ん、ゆっかりしてるわぁ~・・・」 「まりさぁ~、きょうはいっしょにゆっくりしようね!」 「ゆっくりしようね~♪」 「せっそうなくいちゃいちゃして・・・いなかものね!?」 「しっとだねー、わかるよー」 「むきゅ~・・・こどもたちもゆっくりしてるわ~」 校舎の隅っこに待機して、いつでもどこでも子ども達を見守っている先生達。 一方、先生に見守られている子ども達は非常にゆっくりとした様子で仲間達とじゃれあっている。 「ゆゆっ!つぎはれいむがおにしゃんだよ!」 「ゆぅ~!ゆっくちつかまえるよ!」 「「ゆっくちにげるよ!」」 一番やんちゃで、活発なグループは鬼ごっこをしていた。 そのグループのリーダー格のまりさにタッチされたれいむが鬼になり、今度は仲間達を追い掛け回す。 「ゆーっ!きれいなおはなさんだ!」 「ゆふふっ!さっきおそとでみつけてきたのよ!」 「すごくとかいはね!」 「むきゅ~、とってもゆっくりできるわ!」 「ち~っんぽ!」 こっちのグループのリーダー格はありすで、皆して彼女の持ってきたお花を眺めていた。 どうやらこの集団には共通して女性的とされる気質があるらしく、子ども達の目はきらきらと輝いている。 やがて、誰とはなしに「おっはなさん♪お~は~なさんっ♪」と歌い始め、気がつけば皆で合唱していた。 「むきゅ~・・・せんせー、ぱちゅりーもっとべんきょうちたいわ」 「ちぇんもべんきょうちたいんだよー」 「ありすももっととかいはになりたいわ!」 「むきゅ~、せんせーゆっくちおべんきょうをおしえてね!」 そんな事を言いながらぱちゅりー先生に群がっているのはぱちゅりーを筆頭にしたお勉強好きのグループ。 しかし、先生は彼女達をなだめると、にっこり微笑んで諭した。 「むきゅ、ゆっくりするのもだいじなおべんきょうよ!」 「「「ゆぅ?」」」 「かしこくないとわるいにんげんさんにだまされるわ!でも、ゆっくりしてないといいにんげんさんをゆっくりさせてあげられないでしょ?」 「「ゆゆっ!」」 何も大した事は言っていないのだが、子ゆっくり達は感銘を受けたといわんばかりの表情を浮かべる。 口々に「せんせーはとってもゆっくちちてるね!」と彼女を褒め称え、それから「ゆっくりゆっくりのおべんきょうするよ」と言って仲間同士で遊び始めた。 「みんな、ゆっくりしてるかしら?」 「「「「「「「「「「とってもゆっくりしてるよ!」」」」」」」」」 「「「「「「せんせーたちもゆっくりしていってね!」」」」」」 そんな風にゆっくりしている子ども達を眺めているだけでゆっかりん校長や先生たちは幸せな気分になった。 子ども達も優しい先生たちに見守られながら思いっきり仲間達と遊んだ。 それからお菓子を食べ、遊び、昼食を食べ、遊び、お菓子を食べ、お昼寝し、お菓子を食べ、遊び、夕食を食べ、遊び、お菓子を食べてから眠りについた。 5日目はありす先生からお食事のマナーを学ぶ日。 「きょうはありすせんせいがとかいはのたべかたをおしえてあげるわ!」 「ゆゆっ!ありすはとっくにとかいはよ!」 「ゆふんっ、じゃあここでこのおかしをたべてみてね!」 先生の指示に従って、1匹のありすが他の子ゆっくり達の前で都会派の食事を実演する。 食事中は喋らないように、食べ物を撒き散らさないように、決してがっつかず落ち着いて一口一口咀嚼する。 彼女の食べ方は床を汚さない理想的な食べ方だった。が・・・ 「ちがうわ!そんなのとかいはのたべかたじゃないわ!」 「ゆゆっ!?そんなことないよ!おねーしゃんがとかいはだっでいっでだもん!」 いきなり自分の食べ方を全否定されて涙目になる子ありす。 ありす先生はそんな彼女ににっこりと微笑みながら、慰めるように頬ずりをし、それから話を始めた。 「きっとみんなもこんなふうにたべろっていわれてるとおもうわ!」 「ゆかをよごすからきりぇーにたべなさいっておにーさんがいってたよ!」 「そんなんじゃだめなのよ!そんなのゆっくりしていなくていなかものなのよ!」 「「「ゆゆっ!?」」」 今までの常識を覆すような発言に驚愕する子ゆっくり達。 ありす先生は彼女達の驚きの表情を伺いながら少し得意げに話を続ける。 「だってそうでしょ?にんげんがたべものをこぼさないのはてがあるからなのよ!」 「で、でもれいむたちもこぼさずにゆっくちたべられるよ!」 「だけど、それはほんとにゆっくりしているのかしら?」 「「「ゆゆっ!?」」」 思い当たる節があったのだろう。またしても子ども達は驚愕の表情を浮かべる。 「それにむーしゃむーしゃ、しあわせ~っていわないようにたべてしあわせなの?」 「「「「ゆゆゆっ!?」」」」 「ゆぅ・・・まりしゃほんとうはうめぇ、めっちゃうめぇっていいながらたべたいよおおおお!ゆええええん!」 「「れいむもちあわせ~したいよおおおおおお!」」 「「ありすもとかいはなちあわせ~がちたいわ!」」 今まで我慢してきた気持ちが溢れ出し、子ども達は泣き出してしまう。 そしてアリス先生は子ども達が泣き止むまで笑みをたたえながら、その様子を見守っていた。 「「「「「「ゆっぐ・・・ゆっぐ」」」」」」 「みんな、もうなきやんだね?じゃあ、せんせいといっしょにむーしゃむーしゃ、しあわせ~しようね!」 そう言いながらありす先生は子ども達にビスケットを配ってゆく。 途中、1匹のぱちゅりーが「でも、おうちじゃちあわせ~できないよぉ」というのを聞くと、子ども達にこう言ってのけた。 「にんげんさんはたべちらかすなっていうけど、そんなのむしすればいいんだよ!」 「「「「「ゆゆっ!」」」」」 「で、でもぉ・・・そんなことしたらおこられるよ!ゆっくちできないよ!?」 「ゆふふっ、だいじょうぶよ!ありすたちはとってもかわいいんだよ!」 「ゆぅ?」 「しあわせ~してるありすたちのゆっくりしたかわいいすがたをみたらにんげんさんはめろめろなんだよ!」 「「「「ゆゆっ!?」」」」 「だからおかたづけくらいよろこんでしてくれるよ!だって、にんげんさんはありすたちをゆっくりさせるためにいるんだよ!」 「「「「ゆゆゆゆゆっ!?」」」」 その言葉を聞いた子ゆっくりはにこにこと笑みを浮かべるようになり、「じゃあ、おうちでもたいわせ~できるんだね!」と大喜び。 あるものはぴょんぴょん飛び跳ね、中には「ちあわせ~できるなんてちあわせ~」と泣き出すものまでいた。 「それじゃあ、みんな!いっしょにしあわせ~しようね!・・・むーしゃむーしゃ、しあわせ~!」 「「「「「むーしゃむーしゃ、ちあわせ~!」」」」」 「「「「うっめ、これめっちゃうめぇ!」」」」 くちゃくちゃ、がつがつと音を立てながらありす先生と子ゆっくり達はゆっくりビスケットを食べた。 そうして、皆がしあわせ~な食べ方をきちんと習得した頃にちょうど就業のベルが鳴った。 それから遊び、昼食を食べ、遊び、お菓子を食べ、お昼寝し、お菓子を食べ、遊び、夕食を食べ、遊び、お菓子を食べてから眠りについた。 6日目はちぇん先生と一緒に狩りの練習をする日。 「みんなー、だんごむしさんをうんどうじょうにまいたからさがしてつかまえてみてね!」 「「「「「ゆゆっ!ゆっくりりかいしたよ!」」」」」 ちぇん先生の指示に従って元気良く運動場に飛び出す子ゆっくり達。 石をのけたり、木の裏側に回り込んだり、雑草を引き抜いたりしながら必死になってダンゴ虫を探している。 運動神経の良いまりさ種とちぇん種はあっという間にダンゴ虫を見つけては、先生に見せにやってくる。 続いてやや鈍いれいむ種と都会派意識のせいか汚れるのを嫌がるありす種がちらほら成果の報告にやってきた。 が、非常に体の弱いぱちゅりー種は途中で力尽きてしまい、先生の傍で休んでいた。 今のところダンゴ虫を捕まえたぱちゅりー種は1匹もいない。 「どうしてだれもつかまえられないの、わからないよー」 「む、むぎゅぅ・・・だんごむしさんをみつけるまでにつかれちゃうのぉ・・・」 「だんごむしさんがはやくておいつけないよぉ・・・」 「だったらおともだちにきょうりょくしてもらえばいいんだよー」 「「むきゅ!?」」 その発想はなかったわといわんばかりに目を見開いたぱちゅりー達は早速友達に声をかけてダンゴ虫狩りに再出発した。 そして、友達の協力のによってあっという間にダンゴ虫を捕まえてみせた。 それどころか、ぱちゅりーがダンゴ虫のいそうな場所を教え、あらかじめ逃げ道を塞ぐことで他の子ゆっくりも効率よくダンゴ虫を集めることが出来た。 「ゆゆっ!せんせー!いっぱいとれたよ!」 「「「ゆっくちいっぱいあつめたよ!」」」 「むきゅ~・・・みんなのおかげでむしさんをとれたわ!」 「ゆっくりありがと~」 「まりさもぱちゅりーのおかげでいっぱいとれたんだぜ!」 それからも先生の指導を受けながらダンゴ虫を集めた子ども達は達成感に包まれながら満足げな笑みを浮かべている。 予想以上の成果を上げた子ども達の笑顔を見守るちぇん先生もまた満足げな笑みを浮かべ、彼女達の話しかけた。 「おうちにかえってもむしさんをみつけたらちゃんとつかまえるんだよ!」 「「「「ゆっくちがんばるよ!」」」」 「にんげんさんはむしさんがきらいだからむしさんをつかまえてあげたらよろこぶよー!」 「「「「ゆゆっ!よろこぶの?ごほうびもらえるの!?」」」」 「ごほうびじゃないよー!みつぎものだよー!」 「「「「みつぎものぉ?」」」」 「ごほうびよりずっとゆっくりできるものだよー!」 「「「「「ゆゆっ!ごほーびーほしいよ!」」」」」 「にんげんさんがわすれないようにちゃんといってあげるんだよー!」 「「「「「ゆゆっ!ゆっくりりかいしたよ!」」」」」 そう言って帰宅後にご褒美を沢山貰う自分の姿を想像して嬉しそうに跳ねる子ども達はきっと今の言葉を忘れないだろう。 教えるべきことは教えた。しかし終業のベルまでまだ結構な時間があり、流石に今終るわけには行かない。 そこで、ちぇん先生は子ども達にこんな提案をした。 「みんなー、おにごっこをするよー!せんせーがおにだよー!」 「「「「「「「ゆっくりりかいしたよ!」」」」」」」 子ども達は返事をすると元気良く運動場に散らばって行く。 終業のベルが鳴るまで、子ゆっくりとちぇん先生は時間を忘れて駆け回った。 それから昼食を食べ、遊び、お菓子を食べ、お昼寝し、お菓子を食べ、遊び、夕食を食べ、遊び、お菓子を食べてから眠りについた。 7日目はゆかりん校長のおうちを確保と防衛の練習の日。 「きょうはゆっかりんがとくべつにせんせいをしてあげるわ!」 「「「「「ゆっくちちていってね!」」」」 「ゆっくりしていってね!」 「きょうはゆっかりんがとくべつにおうちをじゅんびするほうほうをおしえてあげるわ!」 「「「ゆぅ?おうちならあるよ?」」」 「それはまだにんげんさんたちのおうちよ!ゆっくりしてないにんげんのおうちじゃゆっくりできないわ!」 「「「「「ゆーっ!ゆっくちできないのはいやだよ!?」」」」」 「だったらゆっかりんのおしえをちゃんときいてね!」 「「「「「「「ゆっくちがんばるよ!」」」」」」」 元気に飛び跳ねながら返事をする子ども達の様子に満足したゆっかりんはおもむろに近くにあった木の棒を咥えた。 そして、その場でくるりと円を描くように這いずって移動し、棒で運動場に小さな円を描いた。 「みんなもえんをかいてね!」 「「「「「「「ゆっくちかくよ!」」」」」」」 ゆっかりん校長の指示に従って小さな円を描く子ども達。 皆がんばっているものの、その円はいびつで四角に近い形になっているものまであった。 が、重要なのはサークルを描くことなので、ゆっかりんは皆がサークルを描き終えるのを待った。 「「「「「「「ゆっくちかいたよ!」」」」」」」 「それじゃあ、みんなえんのなかにはいってね!」 「「「「「「「ゆっくちはいったよ!」」」」」」」 「それじゃあ、ゆっかりんのまねをしてね!」 ゆっかりんは軽く深呼吸をしてから、元気良く大声を出した。 それに倣って子ども達も深呼吸をしてから、元気良く大声を出す。 「ゆっくりしていってね!ここはゆっかりんのおうちよ!ゆっかりんがみつけたおうちだよ!」 「「「ゆっくちしていってね!ここはれいむのおうちだよ!れいむがみつけたおうちだよ!」」」 「「「ゆっくちしていってね!ここはまりさのおうちだぜ!まりさがみtけたおうちだぜ!」」」 「「ゆっくちしていってね!ここはありすのとかいはなおうちよ!ありすがみつけたおうちよ!」」 「ゆっくちしていってね!ここはぱちゅりーのとしょかんよ!ぱちゅりーがみつけたとしょかんよ!」 「ゆっくちしていってね!ここはちぇんのおうちだよー!ちぇんがみつけたおうちだよー!」 「ちーんっぽ!!」 更に深呼吸をしたゆっかりんは再び大声で叫ぶ。 そして、子ども達もゆっかりんに倣って元気良く叫んだ。 「ゆっくりしたかったらおかしをもってきてね!ゆっくりできないおにーさんはゆっくりでていってね!」 「「「ゆっくちしたかったらおかちをもってきてね!ゆっくちできないおにーさんはゆっくちでてってね!」」」 「「「ゆっくちちたかったらおかちをもってくうんだぜ!ゆっくちできないおにーさんはゆっくちでてってね!」」」 「「ゆっくちちたかったらとかいはなおかちをもってきてね!ゆっくちできないいなかもののおにーさんはゆっくちでてってね!」」 「ゆっくちちたいならごほんをもってきて!ゆっくちできないおにーさんはとしょかんからでてってね!」 「ゆっくちしたいならおかちをもってきてねー!ゆっくちできないおにーさんはでてってねー!」 「ちーんっぽ!ちんぽーっ!」 もう一度、ゆっかりんは深呼吸をしてから大声を上げてから空気を吸って膨らむ。 子ども達もそれに合わせて大声を上げてから空気をふって膨らんだ。 「でていかないとゆっかりんおこるわよ!ぷんぷん!」 「「「でていかないとれいむおこるよ!ぷんぷん!」」」 「「「でていかないとまりさおこるぜ!ぷんぷん!」」」 「「でていかないとありすおこるわよ!ぷくぅ!」」 「「でていかないとぱちゅりーおこるわよ!ぷく・・・ゲフゲフ!?」」 「でていかないとおこるよー!ぷくぅ~!」 「ちーんっぽー!ちんちん!」 止めとばかりにすぅ~っと息を吸い込むと最後の言葉を口にした。 勿論、子ども達も彼女に続く。 「ゆっくりできるならおにーさんをおうちにおいてあげるわ!だからゆっくりしないでおかしをもってきてね!」 「「「ゆっくちできるならおにーさんをおうちにおいてあげるよ!だからゆっくちちないでおかちをもってきてね!」」」 「「「ゆっくちできるならおうちにおいてあげるぜ!だからゆっくちちないでおかぢをもってきてね!」」」 「「ゆっくちできるならおにーさんをとかいはなおうちにすませてあげるわ!だからゆっくちちないでおかちをもってきてね!」」 「「ゆっくちできるならおにーさんもとしょかんにいてもいいわ!だからゆっくちちないでごほんをもってきてね!」」 「ゆっくちできるんだねー!ならおかちをもってきてねー!」 「ちーんっぽ!ちっーんぽ!」 激しい授業だったが、やり遂げた・・・そんな満足感に浸りながら、ゆっかりんは微笑を浮かべた。 子ども達も厳しい授業に耐え切ったことで自信に満ち溢れた力強い笑みを浮かべている。 呼吸を整えたゆっかりんはそんな彼女達に優しく語りかけた。 「がっこうはきょうでおわりだけど、ここでまなんだことをいかしてゆっくりしてね!」 「「「「「「「「「ゆっくりがんばるよ!」」」」」」」」 こうして子ども達の学校生活は無事終わりを迎え、子ども達は親や飼い主に連れられて家路に着く。 1週間を共に過ごした先生たちは少し寂しそうに、しかしそれ以上に嬉しそうな笑みを浮かべて子ども達を見送っていた。 ゆっくりのがっこう・後編?